機龍警察(ハヤカワ文庫JA)
機龍警察(ハヤカワ文庫JA) / 感想・レビュー
Tetchy
シリアスな国際犯罪警察小説にパワードスーツを絡ませた、大人の小説に少年の夢を加えた近未来警察小説。しかし龍機兵を扱う特捜部SIPDの面々は警察官でありながら警察から白い眼で見られ、明らさまに罵られ、行きつけのお店からも追い出される。そんな確執を抱えながらも日々過激化する機甲兵装を使ったテロリストたちと命がけの戦いを強いられる特捜部たちの姿が骨太の文体で頭からお尻まで緊張感を保ったまま語られる。SF的設定が見事に組織の軋轢の狭間で額に汗水たらして捜査に挑む警察官たちの活躍と結びついた読み応え十分の一級品だ。
2017/03/13
文庫フリーク@灯れ松明の火
市街地での近接戦闘を主眼とした《機甲兵装》と総称される軍用有人兵器。警視庁特捜部・特殊セクションSIPDの人型強化兵装《龍機兵》コードネーム『フィアボルグ』『バーゲスト』『バンシー』の3体。搭乗者は〈黄金のディアボロス〉と呼ばれた伝説的傭兵部隊唯一の生き残り・姿俊之。元モスクワ民警の刑事・黒手袋のユーリ・オズノフ。唯一の女性搭乗者〈IRFの死神〉と呼ばれたライザ・ラードリー。裏社会の一流を集めた、通称《機龍警察》を率いるのは、外務省出身・異端の沖津部長。龍機兵の要は『龍骨』と呼ばれる中枢ユニットに→
2014/05/23
absinthe
機甲兵装の存在もかっこいい。工事現場の重機なんてものじゃなくアクションヒーローのような高速動作。ロボットオタクが書いた警察物と言った感じだが、内容はかなりのハードボイルド。実はメカの描写も面白いのだが楽しむべきは人物設定。傭兵としてかつての戦友と相まみえる悲劇。賞賛とも尊敬とも無縁でただ捨て駒のように働く人物たち。リアルな警察者に、浮かないように巧みにロボットアニメが混じってくる感じが良し。パトレイバーより戦闘妖精雪風を思い浮かべた。
2019/02/18
KAZOO
この著者については結構このサイトで「土漠の花」や「ガンルージュ」というのが掲載されていて気になっていました。警察ものが好きなのでそれでとりあえずこの本を読みました。近未来の警察のあり方で、ロボコップやワイルド・セブンを思い出しました。この巻はどちら方というと登場人物の紹介的な色合いのもので全体像がわかるようになっています。このシリーズを読んでみようと思いました。
2016/08/25
おしゃべりメガネ
スゴい作品が登場してきました!ジャンル的にはSFミステリーという感じになるのでしょうか。とにかく時代(背景)設定からキャラの造形、文章の流れまでとにかく素晴らしい作品です。意味なくあわただしくドタバタと話を無理やり展開させるコトはなく、本当にキャラの内面描写を含めてひとつひとつ、とても丁寧に描いてくれています。かといって中だるみすることはまったくなく、アッという間のイッキ読み必至な作品でした。SF背景にありながら、ミステリーを軸に人間ドラマもあり、シリーズ化も納得の作品で今後の展開にますます期待します。
2012/12/24
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