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アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-43)

アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-43)

アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-43)

作家
神林長平
出版社
早川書房
発売日
2011-03-10
ISBN
9784150310240
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アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-43) / 感想・レビュー

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扉のこちら側

初読。2015年1223冊め。敵か味方かの判別もつかないとか現在地がどこかもわからないとかの緊迫した場面でも、人間とは何かとかなんかの哲学的話が延々と続くシュールさ。でもそれがこの戦争の真意を知るために必要であり、最後の展開に不可欠だったと信じられる安定のシリーズ。この第三部の結末もよかった。続編求ム。

2015/12/19

おたま

シリーズ前2作を読んできて、この本でいよいよ未知の異星体ジャムとFAFとの全面的な戦闘となる。のだけれど、物語は決して華々しい「戦闘場面」とは一切無縁に続く。むしろ混沌とした混濁した世界が現出する。それは、ジャムが惹起したものではあろうが、特殊戦関係者の各自の意識と、ジャムに寝返ったロンバート大佐の意識と、さらに雪風の意識(?)、ジャムの世界観等が混ざり合う世界での認識論的な「闘い」となっている。人間の現実世界である、「今」や「ここ」が解体され、むき出しの存在論的な「よりリアルな現実」が描かれていく。

2021/06/06

詩 音像(utaotozo)

複数視点による一人称語り連作で各話ごと、また各話の途中でリレー的に語り手が交代。それがメタ的伏線になって、個人が物語を語ること自体の不思議さを照らし出し、その一人称語りさえも、雪風の采配だったのかと思わせる目眩く物語構造。この仕掛けを著者は連載開始時から考えていたのか。言葉と意識が世界の有り様を変えるのは、今まで「雪風」では控えめだったが神林節とも言える。深まる会話が見える世界を解き明かす一方で、募る閉塞感。それだけに終章の爽快感には思わず目頭が熱くなる。空中給油も第1作っぽく、メカフェチ的にグッと来る。

2017/01/02

里愛乍

前巻で少し掴めそうな気になっていたジャムだけど、片鱗らしきものが見えれば見えるほどますます不気味さが増してきた。自分とは意識であり、意識とは言葉であり、言葉があればそこに自己があるという、ロンバート大佐と桂城少尉の会話は興味深い。もしかしてジャムとは〝言葉〟なのか?以前読んだ「言葉が人間を操作する」というやつを思い出した。自分の持つこの意識も言葉に操られているだけなのか―――戦闘機で戦う兵士のSF戦闘ものかと思って読みだしたら、いつの間にか想像もつかなかった場所に連れてこられた気分です。

2015/02/04

眠る山猫屋

理系ではなく哲学を語る文学。手強いがおもしろい。雪風との共生を語る一巻、機械と人とのコミュニケーションの破錠と再生を描いた二巻。敵や味方、個々の境界を飛び越えて原点に帰る今巻。零の主人公としての(あるいは雪風の)存在感は一歩引いた感もあるが、新たな戦いの位相を期待したいな。

2013/10/11

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