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あなたのための物語 (ハヤカワ文庫 JA ハ 6-1)

あなたのための物語 (ハヤカワ文庫 JA ハ 6-1)

あなたのための物語 (ハヤカワ文庫 JA ハ 6-1)

作家
長谷敏司
出版社
早川書房
発売日
2011-06-10
ISBN
9784150310363
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あなたのための物語 (ハヤカワ文庫 JA ハ 6-1) / 感想・レビュー

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まりも

余命半年を宣告され、残された日々をITP商品化の障壁である"感覚の平板化"の解決に捧げた開発者サマンサ。そんな彼女の為に仮想人格≪wannabe≫が彼女のための物語を作り出す話。この作者さんの作品は物凄く面白いんだけど、その分読後の疲労感もハンパないですね。生と死の残酷さ、理不尽さを徹底的に生々しく描写しているので、とんでもなく重苦しい内容になっています。死というものに一切の理想を持たせない、このドS加減が堪りませんわ。精神力をゴリゴリ削られるけど、読む価値はある。そんな1冊だったと思います。

2016/05/09

ひさか

2009年8月ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション刊。2011年6月ハヤカワ文庫JA化。小説を書く仮想人格とそのシステムを作った女性を中心にしたお話。気が滅入るような展開だが、NIP(Neuron Interface Protocol)、ITP(Image Transfer Protocol) という設定や、仮想人格の認識等の話が興味深く、読ませる内容です。

2018/05/24

ゆかーん

<Wanna be>=人工神経制御言語であるITPテキストを記述された人工人格。《彼》はITP開発者のサマンサの指示に従い、人として生きることを求められた。人間の感情を理解するために求められたのは、物語を読み、自らが彼女の為に「物語」を書き上げるということ。しかし、サマンサには時間がなかった…。余命半年を告げられた彼女は、彼の物語を拒絶し、自分の脳に埋め込んだITPの世界に籠り現実逃避を始める…。生命の終わりとは?死ぬことに抵抗した先にあるものとは?答えを見出すために、あがき続けた記録がここに存在する。

2016/06/19

ハタ

第30回日本SF大賞・第41回星雲賞日本長編部門にノミネートされた本作長谷敏司著「あなたのための物語」は、思考人格を創る程発達した線密な近未来の世界観のもとで、仮想人格《wanna be》と、余命半年を宣告された開発者サマンサの「精神の死・肉体の死」をテーマにした作品だと思いました。プライドの高い彼女が、物語が進行するごとに肉体の機能が朽ちていき、孤独感・無力感に苦しむ様子には背筋が凍り、その心理描写に肉付けするように練られた人工神経制御というSF設定。そして問われる倫理・道徳性、人間としての存在意義。

2015/08/21

さすらいの雑魚

死の物語です。 天才が逃れ得ない死に直面し、呪い、足掻き、目を逸らし、誤魔化し、悪罵を撒き散らし、孤立して、苦しむ。 そして力尽きて動物のように死ぬ。 そんな物語を単行本1冊費やして描いたSF小説。 強力なAIや脳の編集技術の登場で個性や人格すら相対化されゆく未来。技術の発達を置くことで可能になった人の死の意味への純化した問を徹底的に突き詰め、残酷なほどに端的に、結論を差し出し作者は言う。 これは「あなたのための物語」だよ、と。 私のいつか必ず訪れる最期の物語を予習。 心の弱ってる人は読んだらダメな物語。

2022/01/26

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