KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

作家
上田早夕里
中村 豪志
出版社
早川書房
発売日
2011-12-08
ISBN
9784150310530
amazonで購入する Kindle版を購入する

リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

4篇からなる作品集。巻頭の表題作「リリエンタールの末裔」(いいタイトルだ。実はこれに魅かれて購入した)は、長編『華竜の宮』(私は未読)と同じ世界を背景にしたものであるらしい。そのせいか、未完であるかのような感が残る。続く「マグネフィオ」は、菜月の和也に対する態度に違和感が残る上に、二人で行ったイタリア料理店のメイン・ディッシュがパエリアというのは、いくらなんでも変だ。こうなると、この人の技術的な蘊蓄もなんだか怪しく見えてしまう。「ナイト・ブルーの記録」は、著者得意の海洋ものらしいが、これも私には⇒

2024/08/19

射手座の天使あきちゃん

【この本のレシピ】 理系の基礎知識と歴史的事実をベースに希望とファンタジー菌をよく混ぜた生地をじっくり寝かせます。 味の決め手に、ごく少量の悲哀や絶望を書きあげる直前に加えましょう。 お召し上がり時に、お好みで科学技術の将来への強い思いを振りかけても美味しくお召し上がり頂けます(笑) 「幻のクロノメーター」風味絶佳でした!! (^_^)v

2013/12/21

文庫フリーク@灯れ松明の火

稀に見る壮大なSF巨編『華竜の宮』の世界の一角で、空を飛ぶことに情熱を傾けるチャム。『華竜の宮』既読者には嬉しい立ち上がり。オットー・リリエンタールのグライダーを検索し「マグネフィオ」では現代磁性流体アートに目を奪われる。そして最も印象的な「幻のクロノメーター」ハリソン製作のH‐1は失礼ながら、とても時計に見えない。現実に存在するリアルを素材に取り込み、物語を紡ぐ上田さん。参考文献・取材・下調べと、どれ程の時間を費やされているのだろう。そして描かれるのは、他人など無関係に自分だけの幸せを求めて止まない→

2013/10/03

みっちゃん

作り続ける存在である人類。そして出現する「変容」標題作の主人公の一族の設定にまたもや驚かされました。【華竜の宮】でも散々驚いたのに、まだあったんですね。チャムとバタシュの研鑽は【華竜〜】の人類の最後の決断に寄与していると信じて疑いません。そして【ナイト・ブルー〜】の霧嶋の経験と「ヒト機械同化症候群」の研究は、あの魅力的なアシスタント知性体の開発に繋がっているのでは?と勘繰ってしまいました。次は解説にもあった【完全なる脳髄】も読んでみたいです。

2013/08/28

藤月はな(灯れ松明の火)

社会に影響を及ぼす科学技術の融合は人の心の機微に影響を与えうるかを作品に真摯に問いかける上田さんの力強さが感じられます。『ナイトブルーの記憶』は攻殻機動隊や『ニューロマンサー』のガジェットを使いながらも人間離れしていく人に感じる隔たりや寂しさに胸が締めつけれられます。それでもその記憶はとても美しいと私は思います。特に『クロノメーター』は人々の幸福の技術とされた科学技術が戦争では人々を殺戮したことも描いた『チボー家の人々』を読んだばかりなので彼女の問いかけがほろ苦くもその中でも生きている希望に息が付けました

2015/10/25

感想・レビューをもっと見る