オランダ宿の娘 (ハヤカワ文庫JA)
オランダ宿の娘 (ハヤカワ文庫JA) / 感想・レビュー
とし
江戸参府のおりに商館長が宿泊するオランダ宿の娘、るんと美鶴を中心にした物語。シーボルト、間宮林蔵、遠山金四郎、イネ、高野長英など登場して興味深く読めました。
2018/01/20
chantal(シャンタール)
長崎出島のオランダ商館長「カピタン」が江戸出府の際の宿「長崎屋」。長崎屋の娘、るんと美鶴。二人の恋の行方、日本とオランダとの結びつき、シーボルト事件。ものすごいスピード感でどんどん物語が進む。怪しげな唐人グループ、中国では有名な鄭成功、隠密間宮林蔵、そしてそして遠山の金さんまで登場!ちゃんと桜吹雪背負ってます!とても楽しい歴史エンターテイメントだった!長崎の出島、行ったなあ。シーボルト事件ってこんなだったのねぇ、間宮海峡って名前はそのためか・・等等、楽しい発見もあり楽しめた。
2021/04/26
ユメ
主人公は、カピタンが江戸参府をする際の定宿・長崎屋の二人娘、るんと美鶴。鷹見泉石、間宮林蔵、遠山金四郎と役者が揃い踏みし、シーボルト事件に葉室さん独自の光が当てられて重厚な読み応えとなっている。それぞれ想い人がシーボルト事件に巻きこまれ、身を引き裂かれるような思いをするるんと美鶴だが、決して長崎屋の娘として生まれたことを嘆いたりはしない。閉ざされた国の中で、数少ない開かれた場所の人間である彼女たちが、懸命に国と国との架け橋たらんとし、困難な中でも自らの思いを伝えようともがく姿は、力強い光のようだった。
2016/09/13
真理そら
再読。有名なシーボルト事件を題材にした物語。オランダ宿・長崎屋の姉妹の眼から見た間宮林蔵の不穏さがなんとも言えない。遠山父子、高野長英、シーボルトとお滝、イネの一家など登場人物がとても多いけれど、それぞれの人たちがそれぞれの人生、役割を全うしようとしているので読後感が清々しい。
2019/02/15
エンリケ
オランダ宿とは実際に江戸に有ったオランダ人使節の為の宿。そこは江戸にあって唯一異人との接点。そんな特異性に着眼してお話を膨らませた作者は流石。娘二人が中心だが脇役にはシーボルトや間宮林蔵等名だたる人物が登場する。歴史上有名なシーボルト事件。それをコアに密輸組織の暗躍やら殺人事件、果ては幕閣の権力闘争等お話は目まぐるしい展開。でも思春期の娘が気になるのは好いた人と家族の事。その純情が実は野心溢れる男どもを動かしたりする。姉妹の恋は明暗分かれてしまう。そして降りかかる災厄。その中を姉妹は逞しく前を向く。
2017/01/21
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