日本SF短篇50 II (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)
日本SF短篇50 II (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー) / 感想・レビュー
ハタ
読友さんの感想を読んで久しぶりに。初めて本書を手にとったのは図書館で、かなり長い時間読みふけっていたのを覚えてます。自分の好きな作品は「メシメリ街道」とても不思議な作品ながら街道を「人生」に見立てる作風は自分達のすぐ背後に潜む大きな流れを暗喩としている。決して逆らう事が出来ない大いなる流れのように。もう一つは「折紙宇宙船の伝説」 艶かしく本能のままに疼く人間の心、そんな世界で生きていくには、これはもう狂ってしまうしかない。どこまでも醜い人の心。汚らわしい人間ども。故郷の星に帰れぬなら、すべて死ぬがよい。
2016/09/11
MICK KICHI
1970年代のSF短編アンソロジー。「幕末未来人」としてNHK少年ドラマ化した眉村「名残の雪」、タイムスリップと新撰組との関わりが意外な結末を生むオーソドックスながらも読み応えがある名作。オカルト、エロチズムから、多元宇宙まで壮大なイメージの広がりを見せるのが、小松左京「ゴルディアスの結び目」。夢枕獏のハートウォームな小品「ねこひきのオルオラネ」、雪風の初出短編、神林長平「妖精が舞う」。 最も残ったのは矢野徹「折り紙宇宙船の伝説」、未開の農村に伝わる差別的思考と未知の生命体の邂逅による悲劇と詩情が秀逸。
2020/12/08
ベル@bell-zou
◆小松左京『ゴルディアスの結び目』◆人間の、負の感情。恐れ、憎しみ、僻み、悲しみ悔い…絶望。それらのエネルギーの“可能性”の果て。科学と精神は表裏一体なのかもしれない…。いや、どえらいものを読んでしまった。想像が及ばないほど非常識でグロテスクなビジョン。膨大で密度の濃い知識という土台に裏打ちされたこの世界に、この“重さ”に圧倒される。今月の『100分de名著』のラインナップから我が夫の蔵書より拝借。読み始めてすぐに“え…物理?宇宙?…”とビビったが、落ち着いたら大丈夫だった。ふぅ。小松左京の初読み作品。
2019/07/04
亮人
二巻も佳作ぞろいで大満足!白眉は、眉村卓「名残の雪」と新井素子「ネプチューン」の短篇のクセに長い二作。特に新井素子は今までメルヘンちっくな小説家なのかとの偏見で未読だったけど、間違いでした。目にウロコが飛び込んできた思いです。自然⇔人為の違いとカンブリア大爆発を女性ならではの視点でSFに昇華させる手腕に感服。眉村は既読だったけど、新撰組の名前が出てくるだけで熱い。時間SF特有の改変とラストの情景も鮮やか。あと神林長平「妖精が舞う」も嬉しい。『戦闘妖精・雪風』雑誌掲載オリジナル版とは粋なセレクションに感動。
2013/05/06
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
霜月初旬、好きな作品を聞いたら此れと答えたので購入。「百光年ハネムーン」自分でその存在を信じ理論上の存在から現実に手に取る存在への転換させた意義とは。結婚100年目94年ぶりの再会。しかし雪菜らしさ、おもかげは恐ろしい程変わらない。おまえも来なさい。太陽、そして金星。減衰せず散逸しない光。時空を超えてあの頃の姿を見せてくれる。この日の誓い。大和石の発見は過去の自分と妻の愛の具現化したもの。愛する人を幸せにと、あなたの優しさを信じてたからこそ。その血をひいた子孫の粋な計らい。なぜ君は此の作品を私に。
2015/12/10
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