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猫舌男爵 (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-5)

猫舌男爵 (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-5)

猫舌男爵 (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-5)

作家
皆川博子
出版社
早川書房
発売日
2014-11-06
ISBN
9784150311759
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猫舌男爵 (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-5) / 感想・レビュー

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Hideto-S@仮想書店 月舟書房

蠱惑的な味わいの短篇集。超高級なキャビアショコラを食べるように一篇ずつ咀嚼した。一度にたくさんは食べられない。毎日食べるのはキツい。でも、独特の食感がいつまでも口の中に残る。そんな物語。表題作は手紙形式のスラップスティックコメディ。古本屋で見つけた日本の小説をポーランド人の学生が周囲の人間を巻き込みながら翻訳する話。『水葬楽』は〈喪失〉を幻想的に描いたディストピア小説。一人の女性画家の哀しい生涯を描いた『睡蓮』は、時系列を逆にする事でミステリーに仕上がっている。他に『オムレツ少年の儀式』『太陽馬』を収録。

2015/01/16

Rin

こんな世界を創り上げることができる発想力、想像力が凄い。どこか危うさと破滅の匂いを感じる世界。「猫舌男爵」現実にあるかも、と思えるユーモラスが盛り込まれていて、クスリとさせられる。「水葬楽」は死を迎えるにあたって、そして死に辿りついた先にまで踏み込んでいて圧倒させられた。他の作品も現実と少しの幻想が織り交ぜられているのがいい。「睡蓮」「太陽馬」は今の私では、なかなか入り込めずに、言葉をなぞってしまうだけになってしまった部分もあったので、また時間をおいてチャレンジしたいです。皆川作品は追いかけていきます。

2016/08/16

shizuka

荘厳な音楽が奏でられ、厳粛で神聖な雰囲気が漂う物語集。『睡蓮』はある女性画家の生涯が死から幼少時代へと逆流し語られている。概ね書簡や記録のやりとりだが、群衆が大多数の意見にいかに流れ易いかがよく分かる。彼女はあの男に抹消されたと言っても過言ではない。死んでからの評価なんて無だ。『太陽馬』は物々しい余韻が残る。私は幸運を信じる。さて『猫舌男爵』これは実に面白い。訳者ヤンくんは情熱的で破天荒。周りの人々もなんだかんだ自分勝手。まわりまわって幸せを運ぶ『猫舌男爵』だけれど、その内容を知る術はなし。気になるって!

2016/12/17

森オサム

読むのにいつも苦労する皆川作品ですが、本作も例にもれず読了後グッタリ。スラスラとは行かず、行きつ戻りつしながら読み進めるのですが、どの話も非常に奥深く素晴らしかった。「死」や「運命」、そして「戦争」みたいな物が底流に有る話が多く、心楽しく読める物では無いが、どんより曇ったヨーロッパの物悲しい雰囲気が良かった。そんな中異色の「猫舌男爵」はスラップスティックで楽しめ、山田風太郎は是非読まんといかん、と思わされた(笑)。ただ、一遍選べば「睡蓮」がおススメ。

2021/12/29

さゆ

独特な世界観に最初から最期まで翻弄され、今は既に読み終わっているのに読了できていないような不思議な感覚です。猫舌男爵にヤマダ・フタロ!意外な登場人物に笑ってしまいました。 皆川さん2冊目でしたが、どのお話も劇薬を含むけれど分かっていながら癖になる味、って感じですね。

2015/03/02

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