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我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫 JA エ 3-1)

我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫 JA エ 3-1)

我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫 JA エ 3-1)

作家
江波光則
loundraw
出版社
早川書房
発売日
2015-06-24
ISBN
9784150311964
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我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫 JA エ 3-1) / 感想・レビュー

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徒花

アルカディアマンションと御園の名前を持つ一族を巡る、世界の緩やか終焉と楽園と煉獄のSF。ただ、SFにしてはテーマというか、メッセージが茫洋としすぎていて、物語として読んでいて面白いかというと首をひねってしまう。語り手がコロコロかわるのはまだわかるとしても、焦点を当てられる人物すらどんどん移り変わっていくのでいちいち感情移入できないし、時系列もバラバラなので何がどうなっているのかわからない。そして、それがあまりはっきり説明されないままなんとなく終わる。あんまりおもしろくなかった。

2016/12/31

みっちゃん

「世界の終末に備えて」巨大な建造物「アルカディアマンション」働く必要はない、ただ娯楽を消費するだけで生きてゆける。何もしなくてもいい。いつもそんな生活に憧れながら、いざそれが叶うと何だか物足りない。人間は中々厄介な存在だ。そしてこれは、左右違う色の瞳を持つ「虹彩異色症」の一族の年代記でもある。投げやりな言動の下に熱い心を持つ彼らのアダムとイブのような最初の二人の最後の会話には、ちょっと泣きそうになった。この歳になって永遠の愛、なんて気恥ずかしいけれども。

2016/02/06

キャプテン

★★★★☆_「世|界/リストラ➖フェア」第ニ弾。やぁ良い子のみんな。社長・キャプ島耕作だ。しばらく冬眠してたら愚鈍な社員が増えておるではないか!終末リストラの腕がなる!|/➖理想郷アルカディアと、アルカディアを巡りつつも人類終末に向けて動くオッドアイの人々。SF連作短編小説。決して躍動感のある描写ではないが、だからこそ重厚感のあるストーリー展開。人類の幸せというものが、いかにあやふやなものか。人類をリストラしてやりたい私の思想とベストマッチな作品だ。全社員に配布することにした(もちろん実費)。寂寞の物語。

2017/02/27

藤月はな(灯れ松明の火)

諦めと惰性に支配されている、しぶとくも面倒臭がりな人間だもの。そして殺伐としているけど機械化されて現実性を失っていく身体への哀歌とLOVEはある。そんな終末SF。新興宗教が終末に備えてのシェルターとして作り上げたアルカディア・マンションで近親相姦から始まった御園の家系。個人的にはたった一冊の本を至上としてきたバランスがいいプロフェッショナルな天才と極端思想なアマチュアの凡才を描いた「クロージング・タイム」、リアルな身体性とリアリティが感じられにくい機械の融合による切なさを描いた「ペインキラー」が好き。

2015/11/18

harass

初読み作家。来るべき世界の終末に備える、何も労働をしなくても生活が保証される施設「アルカディア」をめぐる4つのSF短編連作。ディストピアもの?終末世界もの? 数世代に渡る同じ苗字の主人公たちの年代記で時系列が前後しているようだ。独白の語りで、設定の全体像は明確ではなく、ざらつく描写を考えつつ読むことに。手放しで褒めるわけではないが独特の魅力があり、展開にいろいろ驚いた。再読で再確認したい。熊沢という名のキャラは、あの熊沢天皇を連想しほくそ笑む。実に表紙詐欺。こういう終末じゃないんで……

2017/03/05

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