月世界小説 (ハヤカワ文庫 JA マ 5-7)
月世界小説 (ハヤカワ文庫 JA マ 5-7) / 感想・レビュー
MICK KICHI
(表紙:YOUCHAN) 表音と表意が難解にもつれ合った言語を操るニホン語脳なるものの神秘性が果たしてどのくらい有益なのかはわからないが、<神>にも対応しうる力を持つ言語パワーを武器とする設定が秀逸。学生時代に現代詩を学びながら熱を上げた言語記号論のソシュールが出てくるあたりは痛快だった。ジョン・ディーが見る狂気と月の世界、昭和の日本の情勢をおぼろげに知る自分には<幻視>され、ズラされた景色の違和感とメタ言語でメタメタに描写されていくニホンを楽しむ事が出来た。
2020/02/22
つねじろう
このファンタジーなイカしたデザインの表紙で判断すると裏切られる。そう言葉の世界も宇宙みたいだからそれ自体がSFの舞台になるのは不思議はない。だけどこの話はとっても不思議で少し厄介。でも筒井康隆や伊藤計劃、神林長平で免疫が出来てるから平気。こちらの歴史と一部リンクしながら進んで行く世界はアメリカに占領されたままでニホン語が無くなっている。「始めに言葉ありき」と神より先に存在した言葉。その言葉を取り戻そうとする者達の戦いはマトリックス風。脳味噌ウニ状態になるけど頁を捲る手は止まらないそんな厄介な言語SFです。
2015/07/25
絹恵
伝えるために言葉があるのなら、正しさを残すことも、間違いを明かすこともしなければならないのだと思います。もし守るために言葉を使って戦うのなら、君のいない世界では意味を成さない叫びで、傷付けて壊して求めるかもしれません。でもそれは全て、君とのラグランジュポイントを探すために。そして言葉にならないこの気持ちを名付けるために。
2016/02/24
きっしぃ
なぜか、借りた本…(´・ω・`)初っぱなから、ゲイパレード見に行って、天使が世界を崩壊させて、現実に耐えられない主人公が妄想の月世界に逃げ込む…とどっから突っ込んでいいのかと困惑…。その後のニホン語がなくなった世界の話は面白かったけど、それぞれの世界が収束しはじめてからはまた何がなんだかわからなかった…(´・ω・`)レビューは圧倒的に好意的なので、SFを読む力が足りない自分に非があるのでしょう…。
2017/12/26
miroku
実に牧野的でありながら山田正紀的でもあり筒井康隆的でもある。さらにエンデ的でもある小説。初めに言葉ありき。作家の業のような小説であるとも言える。
2016/05/16
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