ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫 JA ミ 12-1)
ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫 JA ミ 12-1) / 感想・レビュー
遥かなる想い
日本製の玩具人形DX9を媒介に人間の業を描く連作短編集である。近未来の社会を描いた作品集だが、読みづらく よくわからなかったとういうのが正直な感想である。 アフリカ内戦、9.11テロなどを題材に 懸命に生きる人々を描くが…共通して登場する DX9 ロボットは何を象徴するのだろうか? 不可思議な混迷の近未来の作品集だった。
2022/01/19
おかむー
既読の『盤上の夜』の作家さんだと知ったのは読み終えてから。気づいてみれば全体に難解な作風がなるほどな感触ですね。『もうすこしです』。南ア、9.11、中近東の紛争を題材に、DX9というアンドロイドを共通のギミックとして哲学的なよういて、結局なにを言いたいのか俺の読解力ではどうも掴みきれなかった連作短編。少女型アンドロイドであるDX9がビルから落下するというイメージと、作中の登場人物が少しづつ繋がっている手法が特徴とはいえるけれど、本質的に「何を語りたいのか」が根底のどこかにあるようでいて見えてこない。
2016/05/29
翔亀
DX9なる人型ロボットの大群が夕立のように降ってくる、というSF好きならば何だこれは、とわくわくせざるを得ない印象的なシーンで5つの短編をつないだ連作集だが、その舞台設定に驚く。まずは南アフリカの近未来の紛争におけるマンデラ二世、続いてNYの世界貿易センタービル(9.11)の再現、さらにアフガンとイエメンとくる。こうした各地で現に続いている民族紛争と地続きの近未来の戦争に「(戦争という)虚無に抗う虚無」だとしても赴く日本人青年が、最終編で北東京の"団地"に戻ってくる。こうして今、ここの日本も地続きである↓
2017/01/26
絹恵
人間ではないものを、人間のように認識するのは、息苦しくなるくらいに意思を感じ取れたからだと思います。言葉を超えるものが歌だとするのなら、それはまるで伊藤計劃氏に捧ぐ愛の歌のようであり、そして聞こえるはずのない息遣いが聞こえて、たったひとりの愛する人におくる子守歌のように、この先も歌は降り積もっていくと信じたい。どこにもいない彼女と出逢って、どこにもいられなかった彼らが存在できたように。(勝手なイメージで流れていたのは『ODDS&ENDS』でした。)
2015/11/03
hanchyan@だから お早うの朝はくる
とてもとてもとても面白かった。「意思の疎通」てホムンクルスとか錬金術レベルの見果てぬ夢だと実は個人的には思ってて、だからこそその「奇跡」を顕現させんとする虚構にはヨワイ。あと、常々若い世代は大変だなあとも感じてい、近未来ではその大変さは加速してるだろうとも。その二項目を(しかも自分の想像の遥か上のハードルで)飛び越えて見せる、みせる…!という意思を感じさせられれば、おっさんとしてはただただ鼻の奥をツンとさせるのみ(笑)。次代を担う若人括りで梓崎優「叫びと祈り」と比較して見つめる先の違いが興味深くもある。
2016/06/16
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