深紅の碑文(上) (ハヤカワ文庫 JA ウ 4-4 The Ocean Chronicle)
深紅の碑文(上) (ハヤカワ文庫 JA ウ 4-4 The Ocean Chronicle) / 感想・レビュー
夜長月🌙@新潮部
上田早夕里さんのSFはとても歯切れが良い。歯切れが良いとは架空の理論の積み重ねであるSFにおいてその理論に不整合がなく、かつ読んでいて容易に理解しやすいことを指します。「華竜の宮」を含むオーシャンクロニクルシリーズの世界において新しい人類存亡の危機が訪れます。全人類の政治、宗教、科学などを絡めて壮大に展開していきます。そしてそこにいる人々の生き様にも引き込まれます。下巻へ。
2023/02/14
naoっぴ
『華竜の宮』の続編。厚みに尻込みしていたけれどようやく機会を得て読みはじめた。未来社会の緻密な仕組み、錯綜する政治的思惑、陸と海との差別や対立などが繰り広げられ、なかなか手ごわい読み心地。前作と違い、本作ではストーリーを牽引する人物が複数なので、各々の人物像も含めストーリーについていくのにかなりエネルギーがいる。上巻では人類の危機“大異変”にむけての争いが、さまざまな立場のさまざまな人物の視点で描かれる。人類の存続のため、異なる民族が共存する政策はあるのか。下巻へ。
2021/03/31
ゆかーん
「華竜の宮」の続編。25世紀の地球では、陸地で生活する陸上民と、海の魚舟で生活する海上民が、分かれて暮らしています。そんな中、地球の環境変動「大異変」が起こり、人類は絶滅の危機に⁉︎宇宙への避難が先か、避難施設であるマルガリータ・コリエの建設が先か…。人類の未来が危ぶまれる中、海上民であるラブカたちが、陸上民の資材や食糧を狙って戦いを始めようとしています。陸と海、双方が協力し合って生きる道は無いのか、ラブカのリーダーであるザフィールの悲しい過去に、青澄はどう対峙し和解するのでしょうか…。下巻へ続きます!
2016/12/06
スカラベ
華竜の宮では、最終章からエピローグに向け、物語は駆け足で走り抜け子細に語られなかった。この期間を、新たな登場人物も加え描き出す。舞台は同じなので、前作を読んでおく必要はありそう。残酷で絶望的な人類の未来を前に、人間のとる立場は様々。人類存続に少しでも種を残す希望にすがる人たち、身を守る術に勢力を傾けるべきとする現実派の人々、タブーを破り、人としての姿を変えてでも生き抜こうとするルーシィ。これに、前作では治まるかにみえた海の民、陸の民の確執も勃発。「科学」の力はどこまで光を与えられるのか・・下巻に進みます。
2016/03/19
あむぴの
★★ハヤカワ文庫の100冊 2016★★ 『華竜の宮』の続編。25世紀。大異変が迫り、物資を溜め込み始める人たち。それに伴い、物資を巡る戦いが生まれた。自分がどの区分に属するか。そして、違う区分の人たちとの干渉の具合。みんながうまくいく世界というのは、存在しないのだろうか。2016年2月。
2016/10/12
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