あまいゆびさき (ハヤカワ文庫JA) (ハヤカワ文庫 JA ミ 15-2)
あまいゆびさき (ハヤカワ文庫JA) (ハヤカワ文庫 JA ミ 15-2) / 感想・レビュー
おかむー
インモラルな幼い百合の物語かと思って読み始めたら、終盤は予想外に爽やかな展開でいい意味で裏切られましたよ。『よくできました』。幼いふたりの少女がほんの数ヶ月耽溺したインモラルなひととき。無力な幼さゆえに引き裂かれ、すれ違い、遠回りしながらもふたたび近づいてゆく。■中盤までの展開からすれば悲劇でしか終わらない予感しかなかったのだけれど、終盤で一気に方向性が変わってある種のサクセスストーリーとなるので、薄曇りから突然燦燦と晴れ渡ったような爽快さと同時に変わり過ぎな戸惑いすら感じる(笑)。読後感はよいですよ。
2017/05/21
aquamarine
出会うべくして出会った親に問題のある二人の少女。幼少期のいきなりの描写には正直、読み進められるか不安になりましたが、その後丁寧に丁寧にそれぞれを追うので、すぐに彼女たちの行く末に夢中になりました。信じるものや守りたいものに対する女の執念や底力は凄いです。女性同士ということだけでなく他のセクシャルマイノリティも扱っていますが、重苦しくなく、言い方として正しいかはわかりませんが後半のありえないほどのドラマティックな展開も含め、面白かったです。宮木さんA面初読みでしたが、この不安定な甘さがとても気に入りました。
2018/12/21
misa*
最近宮木さん作品を漁ってた中での一冊。少女2人が紡ぐ幼少期から大人になるまでの百合小説。家庭環境にお互い問題があって、正反対の境遇の2人が惹かれあい、すれ違いながら苦しくも切なくもあるのに止められない想いが切実に描かれてる。後半はスイスイと話が進んで、だいぶ面白くなるからあっという間に読了。
2022/11/10
ピロ麻呂
宮木あや子作品は「ハチャメチャ明るい」のと「ジメジメ暗い」のに分かれるけど、これは「暗」の作品。女性同士の純愛ラブストーリーでした。それにしても「明」の校閲ガールとは作風が全然違う。色々な作品が書ける宮木あや子さんは凄いと思う(^^)
2016/10/11
いたろう
幼児期に出会い、短い期間だが、強く心を交わした二人の女性の再会とその恋の行方。一般的に言えば、二人の指向はレズビアンなのだろうが、他の女性には特段興味を持たないことを考えると、これは性別の問題ではなく、個人への強い恋愛感情がまずあって、それがたまたま同性だったというように思えてくる。恋愛とは何かを知らない幼児期に生まれた、互いに強く惹かれ合う気持ちは、大人と違って打算も計算もない本源的で本能的な感情なのかもしれない。そして、そこから始まるのは、一途に激しい恋の物語。
2017/01/18
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