日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル (ハヤカワ文庫JA)
日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル (ハヤカワ文庫JA) / 感想・レビュー
徒花
よかった。とくに中盤以降のもののほうが好み。具体的には『腸はどこにいった』『ビタミン』『郵性省』『おれに関する噂』『蟹甲癬』『最悪の接触』あたりが好み。エロスやグロテスク激しめは少なめで、『佇むひと』などのディストピアから『わが良き狼』みたいなほっこり感動系まで、収録作品のバラエティが豊富。なかなかの分厚さだが、よんでいてとても楽しめた。
2018/02/10
優希
文句なしに面白いとしか言えません。殆どが50年位前の作品になるのでしょうか。古い作品ばかりとはいえ、全く古さを感じず、むしろ新鮮です。SFという括りでまとめてあるのですが、どちらかと言うとSFというジャンルから逸脱した作品が多い気がしました。とは言え、スラップスティックなメタフィクションとして「筒井康孝」の世界観が確立されているのが読みどころでしょう。グロテスクや下品な話も多々ありますが、笑える作品が盛りだくさんでお得感があります。
2017/09/11
kinkin
1960年台半ばから70年台後半に発表された短編のアンソロジー。前に読んだ作品と「バブリング創世記」や「デマ」といった作品も頭が痛くなるのでパス(笑)「東海道戦争」や「ベトナム観光会社」は初めて読んだ。発表時ベトナム戦争真っ只中という世相を反映した作品や「おれに関する噂」はマスコミをとても辛辣に皮肉っているのが面白かった。「最高級有機質肥料」や「蟹甲癬」は何度読んでも衝撃を受ける。本に収められていないが「乗越し駅の刑罰」は自分の中では筒井康隆作品ナンバーワン。あれもこれもと数えるとまだいっぱいあるな・・・
2017/11/03
yamatoshiuruhashi
豊田有恒の日本SFの物語を読んで、つい読みたくなったシリーズの第1巻。筒井康隆編。筒井の初期中短編を集めている。1964年の東京オリンピックの頃、或いはベトナム戦争が拡大している頃、など時代を反映している。筒井が作中で揶揄している未来が現状になっている部分もあり、改めて驚く。「改めて」と言うのは、収録作品の全てを高校、大学時代に読んだことがあったからだ。筒井はその好悪を別にして一種の天才なのだろう。
2022/01/15
ヨーイチ
分厚い!SFって括りと編集事情で全集とは違うが、初期の作風の変化を知る事ができる。筒井康隆を読み出したのは70年代、人気上昇中でカリスマ的な存在であった。遊び、前衛、実験的なハチャメチャな作品に圧倒されたり悩んだりしたものだ。既読は全体の六割くらいか。最初の「お紺昇天」は手塚治虫を思わせる心温まる人工知能物だがこの作家の場合は異彩を放つ。逆に「佇む人」は鳥肌が立つほどの悲しさと惨めさ、笑いがないためだと読後気がつく。どちらも異色作だと思う。続く
2017/12/06
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