死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫 JA ク 8-1)
死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫 JA ク 8-1) / 感想・レビュー
ナルピーチ
本作には国内、海外でシリアルキラーと呼ばれた人物が実名で記載されており、彼等の多くは幼少期に虐待やネグレクトを受けていたとされている。生まれた時から“絶対悪”の人間はいない。彼等をそんな人間にしてまったのは“育った環境”ではないだろうか。劣悪な環境という病原菌に侵され、病に堕ちていく。今回の登場人物である“榛村大和”もそんな環境が作り上げてしまった犯罪者なのだろう。獄中にいながらまるでゲームをしているかのように愉しむ様にゾッとした。彼にとっては筧井雅也も手駒の1つに過ぎなかったんだろう。
2021/12/13
よむヨム@book
★★★★☆ 星4つ 映画を観て、興味を持ち原作を読んでみた。 映画と原作では、榛村大和と筧井雅也の印象が違った。 特に、榛村大和は阿部サダヲさんの名演のせいか、映画の方が残虐で怖く気持ち悪さを凄く感じた。 冒頭で、キェルケゴールの言葉で「絶望とは死にいたる病である。」と記述されているが、櫛木理宇さんは、榛村大和にとって『死刑にいたる病』は何なのか? 私は、プロローグに書いてある『孤独』ではないかと解釈した。 また、少し時間をあけて、映画とこの本を再観賞、再読したい。
2022/10/24
そる
第1章から主人公雅也が鬱屈しすぎて胸糞悪い。第2章から惹き付けられて一気だが、暴行して殺人、虐待や生育歴がエグくて気持ち悪くて悲しくて、険しい顔で読み進む。連続殺人鬼榛村が紳士的で人に好かれることや計算高すぎてどこまで本当なのかとか、気持ち悪いしゾワッと寒気がする。確かに生い立ちが粗悪だとこんな心理になるだろうが⋯なんか救いはないのか。「「不幸な生まれなら、人殺しになってもいいんですか?違うでしょ。孤児だろうと施設育ちだろうと、犯罪とは無縁に立派に生きてる子たちが世の中にはたくさんいるんです。(略)」」
2021/06/21
茜
シリアルキラーというのはどうしてこうも人の興味を惹きつけるのだろう?あまり良い考え方ではないけれど、多分それは人という禁忌を破った者への未知への憧憬に似たような気持ちがもしかしたらあるのかもしれない。雅也は知らず知らずのうちに榛村大和に影響を受けてしまうのも、そう考えたなら納得出来るのではないだろうか?「嘘をつくときは、九割方真実を話すのがいい。残りの一割だけで嘘をつくのがこつだよ」と、これは大和の言葉だけどなるほどなと納得してしまった。
2021/11/14
あきら
展開が読めなさすぎて、かなり終盤まで結末がまったく予想できなかった。いつの間にか脳が支配されたように、物語にどっぷり浸かります。 羊たちの沈黙のレクター博士を思い出しました。 とても面白かったけど、これは後味悪いな。
2022/02/24
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