アメリカン・ブッダ (ハヤカワ文庫JA)
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アメリカン・ブッダ (ハヤカワ文庫JA) / 感想・レビュー
しんごろ
民俗学の入ったSFを土台に、時にはホラー、ダークな感じが見事に融合した短編集。ちょっと難解なところがあって、置いてけぼりにされた部分もあると感じたのは、自分の読解力のなさと学の無さかな。それでも、どの短編も味があって面白いとは思う。そして、けっこう余韻が残る。この世界観は慣れればハマりそう。新たなジャンルを開拓できて、自分の本の世界が広がった。『検疫官』は、実際にあってほしくない話だな。
2022/02/14
岡本
ツイッターのTLでよく目に留まる名前の著者、且つ更に目に留まるタイトルの小説を書店で発見したので思わず買ってしまった。内容は民俗学×SFの短編6本。タイトルの『アメリカン・ブッダ』は書き下ろし。こういったSF小説はあまり読まないので何とも新鮮な読後感を各編で感じた。お気に入りは「物語」の国内持ち込みを止める『検疫官』。著者の他の小説も読んでみたくなった。読了後、解説の声優・池澤春菜さんが日本SF作家クラブの会長と知る。
2020/10/26
榊原 香織
SFが無性に読みたくなる時がある。特に、これみたいに文化人類学プラスAI、みたいな。 一生VRゴーグルをつけて過ごす雲南省の少数民族、南方熊楠と孫文がロンドンで怪奇事件のなぞ解きをする、仏教の奥義を受け継ぐアメリカンインディアンの部族(仮説の一つとして、中世、補陀落渡海の僧がアメリカに仏教を伝えた) 等、短編書き捨てにはもったいないようなアイデアが満載。
2021/04/02
藤月はな(灯れ松明の火)
表題作は末法時代のアメリカに佇むミラクルマンの説話は魅力的だ。何故なら、それはMアメリカへエクソダスした人々の寓話でもあるから。一方、Mアメリカで解脱したと思ってもミラクルマンの説話に翻弄され、二つに対極化し、争う人々の姿は中道に至ることはできない。それはアメリカ人だけでなく、人間故の業なのだろうか。そして誰かに迷惑を掛ける事を厭う人もいるだろう。しかし、生きる事は、何かを犠牲にする事からは決して逃れられない。また、完璧に生きようとしても自身がその調和を壊す事もある。それでも生の欺瞞を呑み込みながら生きよ
2020/10/25
ひさか
雲南省スー族におけるVR技術の使用例、鏡石異譚、邪義の壁、一八九七年:龍動幕の内、検疫官、アメリカン・ブッダ、の6つの短編を2020年8月ハヤカワJA文庫から刊行。柴田さん初短編集。どれも、センス・オブ・ワンダーに満ちたストーリーで楽しめました。ILCが登場する、鏡石異譚が特に面白かったです。2020年の第41回SF大賞の行方も楽しみです。
2020/10/13
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