野蛮人との生活: スラップスティク式育児法 (ハヤカワ文庫 NV 68)
野蛮人との生活: スラップスティク式育児法 (ハヤカワ文庫 NV 68) / 感想・レビュー
ヨコツ
シャーリー・ジャクスンといえば人間のダークサイドばかりを描いてる作家のイメージだったんだけど、こいつは抜群に面白い育児エッセイだ。ウィットとユーモアに富み、野蛮人のような子供達を呆れ顔で見つめる眼差しは愛情に溢れ、日常生活のワンシーンを切り取る視点のキレ味はまるでカミソリ。ただし、シャーリー・ジャクスンが40代の若さで亡くなったことを踏まえて読むと、本来はゲラゲラ笑いながら読みたいそのユーモアや子供達に対する愛情が胸に迫ってきてちょっと涙ぐんでしまいかねないので要注意。
2016/07/17
アカツキ
ドタバタコメディという感じの家族エッセイ。子供を持つことの面白さと大変さがダイレクトに伝わってきて読んでいると結構疲れるけれど、短編の元ネタと思われる話を見つけることができて、ちょっと得した気分。異色作家短編集「くじ」に収録されている「チャールズ」は創作じゃないと知って驚き半分、妙にリアルだと思っていたので納得半分。
2020/01/21
スターライト
サブタイトルにあるように、ジャクスンがヴァーモント州に転居するところから、4人目の子どもが生まれるまで(訳者あとがきによれば、推定1946年から1952年末まで)の子育ての様子を綴った本。『くじ』などの不穏さを感じさせることは(ほとんど)なく、20のエピソード群のそれぞれにジャクスンのきびしくもやさしいまなざしがあふれている。きっと子育ての経験をしたことのある人にとっては、日米の違いはあれど共感をもって読めるのだと思う。2019年は、ジャクスン生誕100年。何かイベントがあるといいなあ。
2017/11/13
つるら@turulaJB
読了■深町真理子訳 1974.5 原著1953■タイトル通りのドタバタ子育てエッセイだけど、かなり毒がある
2020/10/28
madhatter
再読。初読の際、本当にジャクスンの本か、何度も確認した(勿論、動かぬ証拠はある)。要するに、育児・生活コメディエッセイなのだが、ドタバタ感が非常に面白い。しかし、ある意味では非常に女史の作品らしいとも言える一冊だろう。ユーモラスな筆致ではあるが、日常に根差す狂気や悪意も、本書にはさりげなく描かれている。それは決して大きなものではないのだが、雑草のように根が深く、強烈な印象を残す。例えば「女中難と…」に登場する人々には、彼女の作品の登場人物の片鱗が窺える。
2010/12/11
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