幻想と怪奇 1 (ハヤカワ文庫 NV 91)
幻想と怪奇 1 (ハヤカワ文庫 NV 91) / 感想・レビュー
5〇5
1950年代中心の幻想小説と怪奇小説集です。古典、名作、およびマニア向けは除いての一般読者向けのセレクトであり、ストレートに楽しめます。しかも、ブラッドベリをはじめ巨匠ばかりで安定感もありますね。幽霊、怪物、SF、怪談などバラエティ豊かであり、きっと、お気に入りが見つかるはずです。
2022/04/15
酔花
編者あとがきで仁賀氏が述べているが、収録作品は意図して定番を除外したそうだ。それでいて落穂拾いにならず、小粒ながら幻想と怪奇を楽しめる選定となっているのには頭が下がる思い。知名度によらず面白い作品が読みたいと思っている自分にとってはありがたい。殆どの作品が面白かったが、中でも強烈な印象を残したのはダーレス「淋しい場所」 子どもの頃、西の空に長く伸びる赤い残光と引き換えに次第に増えていく暗闇に、漠然とした恐怖を抱いていたのを思い出させてくれた秀作。黄昏のあの時間帯は早足で帰っていたなぁとしみじみ。
2014/09/19
ぶうたん
40年近くで、読むのは3回目になる。面白かった印象が強いので、遅々とした読書状況に喝を入れてリフレッシュするために選択した次第。自分でも意外だったのだが、結構内容を覚えていた。仁賀氏のアンソロジーは初心者向けというか、オーソドックスなセンスで選ばれていることが多く、自分のようなぬるい読者には最適だ。今回買ったものは本の状態が悪くて残念だったが、少しはリフレッシュできたと思う。ちなみに今回初めて気がついたが、幽霊譚は1つも無かったのは、本書の特色になっているかもしれない。
2021/09/24
nashi
創元「怪奇小説傑作集」全5冊などと比べると、SFに近いものを多く収録しており、そのドライで皮肉な感覚も悪くない(夢売ります/植民地)。大人と子供、男と女の相容れなさと、そこから来る心理のひずみについて描いた作品たち(女/すっぽん/あたしを信じて/はやぶさの孤島)も印象的だ。怖さでは、読者の想像力だけで震えあがらせる「アムンゼンの天幕」を推したい。何となく、映画「遊星からの物体X」と「ブレアウィッチ・プロジェクト」を思い出す作品だ。
2012/08/13
東森久利斗
発掘良品、短編集やアンソロジーに取り上げられることなく、忘れられ埋もれていた作品を生き返らせ、魅力を伝え、陽の目を当てる。アンソロジストの職人技が光る。幻想・怪奇ファンには必読、バラエティー豊かな良品・佳作ぞろい。ダーレス、ハイスミス、シェクリイ、マシスン、…、好奇心を刺激する以外でセンスの良いセレクト。「ポオ蒐集家」がベスト。後続にも期待。
2023/05/22
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