KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

刺青の男 (ハヤカワ文庫 NV 111)

刺青の男 (ハヤカワ文庫 NV 111)

刺青の男 (ハヤカワ文庫 NV 111)

作家
レイ・ブラッドベリ
小笠原 豊樹
出版社
早川書房
発売日
1976-02-01
ISBN
9784150401115
amazonで購入する Kindle版を購入する

刺青の男 (ハヤカワ文庫 NV 111) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ざるこ

これはもうプロローグに尽きる。がっしりと鷲掴みにされてしまう。ウィスコンシン州を徒歩旅行中に出会ったある男。体には18の刺青。月あかりを浴びて刺青が演じる18の物語。不気味なのにこれからどんなものを読まされるのかと期待値が爆上がりの素晴らしいプロローグ。1950年代の作品だけど、ブラッドベリは相当人類に嫌気がさしてたんじゃないかと。いつか地球を破滅させると確信してそうというのが読後の感想だった。異星での不可思議で幻想的なさまざまな物語の背景にいつも破壊された地球がある。寂しいものだ。恐怖のエピローグも◎。

2023/03/06

Apple

宇宙旅行を中心としたSF短編集ですが、「未来から来た彫師の彫った刺青」という設定で纏まっており、未来を窓から垣間見るような心地がしました。ロケットに乗って火星に旅立つ好奇心、火星人と地球人の関係性・確執などがそれぞれの短編に描出されていて印象的でした。タイムスリップで戦争の未来の世界から逃げようとするも逃れられない「狐と森」、自分の存在が科学に脅かされる衝撃の展開「マリオネット株式会社」、無人の「町」が地球人に復讐する物語、子供の好奇心が大人を獲物にしてしまったかのような「草原」など、読み応えがすごかった

2023/01/02

hope

絢爛さに目眩がする。男に彫られた刺青が今夜も語り出す。短編集ながら、幻想的で壮大で余韻が深い。混乱や恐怖を描きながら、根底にあるのは、人類への希望。名作。

2021/06/24

紅はこべ

初期の村上春樹がブラッドベリの影響を受けていることが、この短編集を読んでわかった。「亡命者たち」に出て来る作家や作品が素敵だ。アンブローズ・ビアース、アルジャーノン・ブラックウッド、ラヴクラフト、デ・ラ・メア、アーサー・マッケン、コパード、ダンセイニ…。インターネットや携帯電話がないことを除けば、少しも古さを感じない。SFの詩人という称号がぴったりだな。

2015/04/03

めがねまる

めちゃくちゃ面白かった。奇妙なプロローグとエピローグに挟まれた18の物語はほとんどが宇宙にまつわる話で、これが書かれた頃の、まだ火星に生命体がいて、人類が金星に基地を作って、という空想がひょっとしたらあり得たかもしれない時代に思いを馳せた。火星には何にもないことが今はわかっている。火の玉であったり青白い影、もしくは人型で文明的な火星人は実在せず、こうした本の中にしかいない。妙に懐かしくて少し悲しくなる。一番好きなのは18番目の短編「ロケット」最も素敵な宇宙旅行の話だった。

2022/02/04

感想・レビューをもっと見る