火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
詩的な文章と美しい物語に目がいって、この小説の文明批評的な面を忘れがちになる。しかし、これは悲観的な小説である。物語の中で核戦争によって地球が滅びてしまうのだ。核戦争は絵空事ではない。つい最近もロシアとアメリカの間の緊張が高まって米の国防総省が定めるデフコンのレベルが3になったことがあった。これは核攻撃が近い状態である。幸いなことに現在は平和な状態を示す5になっているが、このレベルがいつ変化するか分からないのだ。デフコンが3になったことを踏まえて、最後の「百万年ピクニック」を読むと胸に迫るものがある。→
2016/12/07
KAZOO
ブラドベリの作品を読み直そうと手に取りました。50年以上も前に読んだきりで、おぼろげながら覚えている内容とは全く異なっていました。「10月はたそがれの国」と「何かが道をやってくる」は幾度か読みなおしているのですがこの作品も一般的なSFというよりも抒情的な作品という感じでした。火星には先住民が住んでいて、地球人がそこに降り立つことから始まりますが、火星人も地球人のような感じで、人間と同じような感情を持っていることで、地球上での出来事(他国に進出していく)のような感じも受けました。
2024/08/29
財布にジャック
SFというジャンルに疎い私が、感想を書くのが憚られるほど、傑作だと思いました。1950年といえば、私の生まれる前からこんな凄い本があったというのに、今まで読まなかったのを恥ずかしく思うほどです。本当にアメリカSFの古典的名作と銘打たれているとおりの名作中の名作でした。短編集ですが、すべてが繋がっていて長編のようにも感じられ、堅苦しくなくSF初心者の私にも、とても読みやすかったです。本当にお勧めです。
2012/03/08
rico
何十年ぶりかの再読。既に過去になった「未来」をゆっくりたどる。・・・でもこんなに、苦い物語だった・・・?もちろん、ブラッドベリらしい美しく幻想的な描写は随所に溢れていている。古き良きアメリカへのノスタルジーも。その一方、登場人物たちは火星人も含めて全く「立派」ではない。むしろ、愚かで俗物で偏見だらけ。美しい物語に仕立てあげることもできたろうに。先の大戦の記憶も生々しい中、性懲りもなく東西冷戦やってる人類への怒りと絶望がそれを、許さなかったのか。かすかな希望を感じさせる結末は、地球人への挽歌にも思える。
2022/11/08
はらぺこ
星新一が感銘を受けた作品らしいので読んでみた。 『地球の人々』の二度目の探検隊がアホっぽくて好き。でも『イラ』や『月は今でも明るいが』の雰囲気も好き。 6フィート1インチを巨人と言ってた火星人とその後に出てくる火星人達のイメージが違う気がする。まあ、地球人でも色々な人種がおるんで火星人も人種が有ると思えば別にええ事やねんけどね。 火星やなくても成立する話が多いから本題は皮肉や風刺なんでしょうね。
2011/06/01
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