アメリカの贈りもの (ハヤカワ文庫 NV キ 7-1)
アメリカの贈りもの (ハヤカワ文庫 NV キ 7-1) / 感想・レビュー
antoinette
アメリカの占領下にあったころのフランスという時点でぴんとこない。前半はパトリックの発情小僧っぷりにイライラし、少女たちのポルノまがいの描写(「興奮するでしょう?」とか云っちゃう)にもイライラし、文章もキニャールの小説にしては読みにくくて、辛かったのだけど……最後にひどく感情を揺さぶられてしまって、ずるいなあ、と思った。マリー=ジョゼのあの科白で、ああこれは「嵐が丘」だったんだ、と。決して癒えることのない青春の傷。
2013/04/30
読鳥
1950年代のフランス中部の村でアメリカ文化に焦がれた少年少女の青春を描いた作品。「めぐり逢う朝」と同じくキニャールがコルノーの映画を前提に書いたものだ。閉鎖的な村で、進駐軍のゴミの山から拾ったコーラの瓶やストッキングが彼らにとっての新世界であるアメリカへの夢の全てだった。一心同体であった二人の関係は、少年が米兵や米軍将校の娘と出会ったことで思いがけない方向に転じていく…。ジャズに傾倒するパトリックを通してアメリカを賛美しながらも、決して華やかなだけでない裏の側面を痛烈に批判しているように思える。
2020/01/27
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