猫たちの聖夜 (ハヤカワ文庫 NV ヒ 7-1)
猫たちの聖夜 (ハヤカワ文庫 NV ヒ 7-1) / 感想・レビュー
ぶち
表紙に描かれた優美に横たわる黒猫の姿と、題名の"聖夜"にすっかりと惑わされてしまいました。 たしかに、猫が主役で猫目線で語られるのは、猫の世界の物語です。人間がほとんどで登場してきません。でも、これはファンタジーではありません。ハードボイルドでスプラッターな描写も多いミステリーなのです。いや、猫好きには、むしろホラーに近いものがあります。残虐な手段で猫がバタバタと死んでいってしまうのですから。 犯人の動機や目的を知ったときには、人間の文明や進歩について考えさせられるものがありました。
2021/12/24
セウテス
アキフ・ピリンチ氏は、最近は日本では少ない中々巡り会わないドイツの作家さんです。グスタフと飼い猫のフランシスは、古いアパートに引っ越してきます。近所の散策に出かけたフランシスは、無残に引き裂かれた死体を見つけます。この地域の顔役によると、四体目の遺体だという。フランシスはパソコンを使える仲間と知り合い、犯人探しをする事とななります。この作品はなんと、猫たち以外は登場しません。人間たちは足元か餌の缶を開ける手位しか、出演していません。しかも本物の猫の特質を描いていて、本格に仕上げているという凄い作品です。
2015/02/22
流之助
猫が主人公で、人間は手や足が出る程度。あまつさえ、猫から「缶切り野郎」と呼ばれる始末。理屈屋で皮肉屋のフランシスが名探偵となり、連続殺猫事件に挑んでゆく。登場猫物たちは皆魅力的。青髭、パスカル、フェリシタス。コングや真犯猫ですら、いとおしい。猫好きにとって、ラストの結末や動物実験のおぞましさには胸が痛む。無邪気さを失った末に行き着く場所がどんなに暗く寂しいのかは、普遍的なテーマだろう。なお、巻末の注釈はとても勉強になった。続編があるということなので、機会があればぜひ読んでみたい。
2016/06/15
多田幾多
謎好きの生意気者の猫・フランシスが引っ越して矢先に殺人(殺猫)現場に遭遇。そこからフランシスと青髭のコンビが事件解決を始める。そこから浮かび上がるのは猫を使った実験や宗教と、人間と変わりない事が。猫好きにとっては絶対に読みたいと思う反面、残酷な描写が生々しくて、ちょっと躊躇してしまう事も。最初っからフランシスが飼い主のグスタフを貶しまくってるとこは「ひでえw」と思いつつ笑ってしまい、だけどフランシスがグスタフをどれほど愛しく思うか語るとこで「ああ、なんだかんだでコイツは人間好きなんだなあと」
2014/06/25
ペグ
ニール ケアリーも逃げ出しそうなフランシスの毒のある生意気な台詞(*^_^*)青髭もなかなかいけてるキャラクターで、そんな猫たちに釘付けだ‼️著者による(猫のしくみ)も一章毎にフランシスの独白が。新作を待ってます。
2015/11/10
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