ポンペイの四日間 (ハヤカワNV)
ポンペイの四日間 (ハヤカワNV) / 感想・レビュー
NAO
【『時代・歴史週間』参加】ローマから派遣された若き水道管理官が見たヴェスヴィオ火山噴火までの四日間を描いた歴史ミステリ。死の直前まで噴火の様子を詳細に描いていた博物学者プリニウスを登場させることで、微細な前兆からヴェスヴィオ火山噴火までが迫力満点に描かれている。こういった大きな自然の変化と比べると、人間の欲とはなんと小さなものであることか。それでもまだ金にしがみついて離れようとしない俗物の醜さを、火山は消し去ろうとしているかのようだ。
2018/02/23
たま
紀元79年、ヴェスヴィオ火山噴火の直前、水道不具合の調査を命じられた水道官の物語。水道技術、現地の人間の非協力的態度、ローマ人の人名(○ウス○クス)に苦労したが、プリニウスが登場した辺りからぐっと面白くなった。トンデモ知識王プリニウスと解放奴隷の土建王アンプリアトゥスの迫力がすごい。ナポリ湾の地理、火山噴火の科学、ローマ時代の水道技術、ポンペイ発掘の考古学を踏まえ綿密に組み立てられた物語で描写のリアルさに驚嘆した。恋愛要素は少し不自然な点も感じたがクライマックスの火砕流描写のためには不可欠だった。
2022/08/02
財布にジャック
結末はわかっているのに、すっごくドキドキしたし、どんどん追い込まれていく自分に吃驚した。淡々と書かれているのにやっぱり怖かった。実際にこの目で見たポンペイの遺跡が次々に思い浮かんで、切なくもなった。そして水道官を主人公にしたアイデアが良かった。物語的にはラストはハッピーエンドと受け取って良いのだろうか?
2010/06/29
鐵太郎
昔、「ポンペイ最後の日」という、いささかロマンチックな本を読んだことがありますが、内容はまったく忘れてしまいました。それからどのくらい月日が経ったろう、再びこのスリリングなカタストロフィを描いた本に巡り会うことが出来ました。平和な日々からたちまちのうちに古今未曾有の大災害に見舞われたその世界を、しかも、政治家でも軍人でもない、水道管理技官マルクス・アッティリウス・プリムスの視点で描かれています。こいつぁ、面白い。
2005/04/02
kariya
西暦79年、ローマの都市ポンペイは火山の噴火によって壊滅した。行方不明となった前任者の代わりに、水道の管理官としてポンペイに赴任した青年アッティリウス。待ち受けていたのは、曰くありげな奴隷出身の大富豪、非協力的な現地の部下達、そして突然の断水だった。必死に復旧に努める彼だったが、運命の噴火は僅か3日後に迫っていた。恋あり謀略あり生より強い矜持ありと盛り沢山の歴史ドラマ。現代で言うとメタボ気味のプリニウスおじさん@「博物誌」作者が、特にかっこいい。「博物誌」を思わず読みたくなるほどに(大変なので即時撤回)。
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