FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 (ハヤカワ文庫 NF 244)
FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 (ハヤカワ文庫 NF 244) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
ハンニバル・シリーズのウィル・グレアムの捜査方法でもあるプロファイリングを持ってジャック・クロスフォードのモデルともなった作者が捜査し、調査した精神病質者達の記録。この本や『羊たちの沈黙』によって『多重人格探偵サイコ』初期や約20年前のミステリーは猫も杓子もプロファイリング時代があったのです。親からのネグレクトや人格否定による自己肯定の低さ、肥大した自己顕示欲、虐げられている自分への不満、自分以外の人は人格があるとは思えないなど、誰もが一度は抱くであろう感情を持つのに「自分には関係ない」と誰が言えようか。
2015/04/23
ヴェルナーの日記
実は以前に読んだことのある本なのですが、最近、海内ドラマ『クリミナルマインド』にハマっていまして、改めて読んでみることにしました。 そうすると『クリミナルマインド』のプロファイル手法は、実在する組織・行動分析課をモデルとしているだけあって、本作のプロファイル手法に極めて近く、かなりリアリティーを追求しているのだなと感じた。 本作が執筆された当時は、行動分析課の前身となる行動科学課という組織だが、ノン・フィクションなので、ある意味、ドラマでは表現できないほど生々しく、もっと過激な異常犯罪者が登場する。
2012/08/10
みゃーこ
快楽連続殺人鬼と依存症のパターンの共通性の多さに驚かされる。自分が絶対的支配力を持つと思える空想の世界を現実化する耽溺する悲しい習性はその空想が続く限り決して更生される望みはないようだ。また暴力と性を結びつけた最近の性風俗の描写にも恐ろしさを感じる。しかし最大の関心は何が彼らを犯罪に走らせたのか、どんな条件が空想を生み強迫的な殺人に駆り立てているのか、だ。
2012/12/20
テツ
FBI行動科学課の特別捜査官ロバート・レスラーが他者多様な異常犯罪(という言い方は適さないのか)にインタビューし分析し創り上げたプロファイリングという手法。同じような境遇で育っても「やっちまう」人間とそうでない人間との差は何処にあるのか。幼少期の小動物への虐待などの凶兆を目にした場合、そのこどもをどう教育していくべきなのか。サイコパスという人種が世間に一定数存在するのなら彼らに一線を越えさせない為にどうするかということも考えないとならないよな。あと突然の被害者の写真とかは勘弁(血が駄目なヘタレ
2017/09/27
そふぃあ
「20ー30代の白人男性で精神病の罹患歴がある」っていわれたら一見当たり前に聞こえるが、このプロファイルを導き出しただけでもすごいんだと思う。本書を読むまではシリアルキラーって自分とは全然違う世界の人間のような気がしてたけど、家庭環境の劣悪さとか育たなかった自己肯定感とか、自分と地続きな場所にいて、まさに私たちは心に怪物を飼っているんだなと思った。救われた人と救われなかった人に分かれてしまうのがどうしても切ない。だが、女性がおもちゃを壊すみたいにレイプされて殺されていくのはもっと悲しかった。
2020/06/24
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