24人のビリー・ミリガン〔新版〕 下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
24人のビリー・ミリガン〔新版〕 下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) / 感想・レビュー
ころこ
90年代にアメリカで書かれ、遅れて00年代に日本では心理学化の時代がやって来る。「分人」に代表されるように時代が解離を求めた。理解が進み、その後に出版された本に比べて、本書の記述はリアリティを失っていると感じられる箇所がある。ストレスを内に抱えて閾値を超えてしまう女性に多いこと。どうやら睡眠に関わっていて、眠りが浅く、自らに別の人格に入れ替わることと、幻覚が(自分の外に別の人間が)見えてしまうことに隔てがないような意識にあること。犯罪を起こす確率は低いことなど、ここでつくられたイメージと随分違ってくる。
2023/12/11
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
精神科医によって書かれた当時の解説がとても興味深かった。 曰く、「乖離性同一性障害、すなわち"多重人格"という症例が世界的に広まったのは、この『24人のビリー・ミリガン』という小説がきっかけだった」らしい。 これを読んで「"自分"とはなんだろう?」と自らを省みる人は多かった、と。
2020/11/11
Takanori Murai
多重人格について語られたものを読むのは初めて。正直俄かには信じ難かった。24人のも人格が登場する。それが別人だとしても登場人物の多さに苦労するのにそれが一人なのだから厄介だ。幼い頃に受けた虐待がもとで別の人格が次々と形成されていく。多重人格者を裁く際の法の適用、あるいは法自体、治療の方向性も非常に難しい。統合するのか否か、いずれにせよ基本人格を尊重すべきなのだろう。余談だが、私も酒が過ぎると別人格が出現しているようだ。気をつけないと。
2020/01/02
to boy
当時の政治家、マスコミが世論をあおってビリーを精神病棟に閉じ込め理解のない医師により生きる気力を失っていく姿には怒りさえ感じてきます。部数獲得、支持票獲得のために利用されているのがくやしい。でも、どこで学んだわけでもないのにアラビア語、スロバキア語などの手紙を書くなんて人間の脳の不思議さを思わずにいられません。
2015/06/15
TKK
図書館本。M・ナイト・シャマラン監督の「スプリット」を観て思い出し再読。多重人格のほとんどが、幼少期の虐待の苦痛から逃れるために別人格が生まれたもの。虐待は人を壊す。ほんとに許せない。
2019/02/26
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