バートラム・ホテルにて (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-14)
バートラム・ホテルにて (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-14) / 感想・レビュー
紅はこべ
『静かな炎天』を読んだせいで、久し振りに読みたくなった。富山店長は駄作と切り捨てたが、キャラも殺人動機もいかにもクリスティらしい。ベスセジウィックはクレイグライスのマローンものに登場する女傑モーナマクレーンにイメージが被る。ビートルズの名が出るのと、警視庁の警部が5時のお茶の習慣なんて英国にはもうないみたいなことをつぶやくのが衝撃。
2017/01/01
本木英朗
ロンドンのバートラム・ホテルに行きたいわ。姪から気分転換の旅行を勧められたミス・マープルはこう答えた。そのか古き良きエドワード王朝の面影を今なお残す格調高いホテル。この数年ロンドンを荒らし回っている強盗団の脅威とも無縁であるかのごとく、優雅な雰囲気を露見するホテル内の錯綜した人間関係。果たして巻き起こった驚愕すべき犯罪とは……という話である。大学・社会人と今まで2回読んでいて、今回で3回目であるが一応、途中で真犯人が分かったかなあ。まあ、それもミス・マープル、そしてクリスティーのおかげであろうが。(→)
2020/08/28
geshi
端的に言うとクリスティーにこういうのは望んでいない異色作。古き良きホテルの底に流れる不穏と牧師の謎の失踪で、何かが起ころうとしている感がずっと漂うが、謎の焦点は見えないまま進む。ミス・マープルがほとんど書割としてしか登場せず捜査をするのは警察でシリーズの型を崩しているのも、全ては「本物らしく見える偽物」というお得意のトリックを舞台設定ひっくるめた形で成立させるため。意図としては分かるんだけど、自身の強みを全部捨てちゃってる。あまりにモヤモヤする幕切れにも不満しかない。
2020/07/13
アルクシ・ガイ
「古き良き時代」をしばしば回顧するクリスティーだけに、読後は切ない。
2016/10/04
黒い森会長
ロンドンのバートラムホテルは、古き良きエドワード朝時代の雰囲気を残していて、昔を懐かしんだ人々が集っていた。 マープルもまたその一人だった。そして事件が起こる。ただ、後期のクリスティらしくP313中でp228目でようやく殺人が起こる。読みどころは、ホテルの人間模様。そして、そこに起こる不思議なズレ。ただ、昔の英国を知らない自分には、もう一つわかりにくかった。
2019/07/05
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