象は忘れない (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-44)
象は忘れない (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-44) / 感想・レビュー
財布にジャック
主人公のミセズ・オリヴァが作者のクリスティーのイメージと被ります。書かれた順でいくとポアロを書いた最後の作品であるということですが、書いた当時クリスティーは82歳になっていたのに、こんな発想を思いつくこと自体が素晴らしいです。派手さには欠けますが、十数年前に起きた未解決殺人事件を、人々の回想から解いていく形式で、晩年の代表作と呼ばれるに相応しいクリスティーらしいストーリー展開でした。
2011/04/13
kiisuke
怖いの苦手な私でも、夜にも読める作品。ゆったりした感じで嫌いじゃないです。クリスティ晩年の作品だそうで、ポアロの人柄が初期に比べだいぶ柔らかくなっているそう。作者とともに変化する登場人物を追いかけられることも長く続いたシリーズの楽しみでしょうか。クリスティはまだ数冊ですが多分好き(笑)また読もうと思います。
2016/05/20
Shoko
12年前に起こった心中事件。夫が妻を殺したのか、それとも妻が夫を殺したのか。ミセズ・オリヴァも登場するポアロもの。会話に次ぐ会話から、次第に心中事件当時の人々の様子や関係性がだんだんと分かってくる。「象は忘れない」人間は都合よく記憶を書き換えてしまうものだけど、ポアロにとっては、そんなこと関係ない。鮮やかな名推理でした。
2018/10/23
ふゆ
象は忘れないってすごく印象的なフレーズです。「そのレベルの読書家」ですが、そのタイトルを少なくとも3作知っています。推理小説としては象は忘れない、が本当に上手なセンテンスです。やるせなく、愛情があり、オリヴァは読友さん並にチャーミングでポアロはいつものポアロに輪をかけて紳士的。D・スーシェと熊谷一雄が私に語りかけました。「ふだんの生活に戻るのですよ、悲劇とか恋愛とか忘れてね」
2022/03/13
虹の谷
私は大好きだなぁ、この本。ポワロの応接間でジョージに飲み物を入れてもらいながらオリヴァさんたちとおしゃべりしているようなマッタリ感があります。オリヴァさんの乳母とのやりとりにぐっと来てしまいました。
2012/07/30
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