忘られぬ死 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-80)
忘られぬ死 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-80) / 感想・レビュー
紅はこべ
確かに原題は適切な訳が難しい。短編「黄色いアイリス」と同トリック。登場人物が文学や伝説中の人物に例えられる。アンソニーには、アイリスがジュリエット、ローズマリーがロザライン(本文ではロザリンドだが、ロザラインが正確だと思う。ロザリンドは『お気に召すまま』のヒロイン)に見え、アレクサンドラとローズマリーは王妃と王の愛妾、ローズマリーと夫のジョージはデズデモーナとオセロ。アレクサンドラの両親がアガメムノンとその妻。エピグラフはオフィーリアの台詞だと思うので、それっぽく訳して欲しかったけれど。
2017/01/03
つったん
久しぶりに再読。クリスティー作品ではこれが一番好き。”犯人探し”の部分よりも登場人物それぞれの心理描写のうまさに感服。舞台装置さえ考えれば現代の日本でも十分通用する内容だと思う。特に女性陣が魅力的。ヒロインはちょっと影が薄いけれど、年齢的には仕方ないか。
2012/08/22
さよ
「誰もが容疑者って、ちゃんと考えて読んでる?」と、ほくそまれる感じ。でも、推理の半分は当たってた。ファラデー夫妻のそれぞれの心境は、読んでてなるほど、と思った。それにしてもローズマリーが浮かばれない。
2016/02/18
madhatter
再読。トリックの原型は短編にあるが、ほぼ別の作品になっている。しかし、個人的には、推理小説としてより、不在の人物であるはずのローズマリーに、登場人物が翻弄される流れの方が面白いと思った。彼女はそこまで邪悪ではないが、個人的には『レベッカ』を思い出す。ローズマリーという人間を通じて、それぞれの人間の内面を語らせる第一部の手法は、いかにもクリスティらしい。謎解きを読んでから第一部を続けて読むと、登場人物の心理に仕掛けられた伏線がわかって面白いだろう。
2010/12/20
Butterfly
アガサ・クリスティの鮮やかな方法に、また気持ちよく引っ掛かった。ハラハラするけれど、読後感が気持ち良い。
2019/06/30
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