緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2)
緋文字 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-2) / 感想・レビュー
Kiyoshi Utsugi
探偵小説家のダーク・ローレンスとその妻で莫大な財産を相続していたマーサは、結婚後3年もすると仲が悪くなり、夫の暴力が耐えなくなります。 その夫婦の仲裁に入ったのが、エラリー・クイーンと秘書のニッキー・ポーター。 特に舞台俳優であるヴァン・ハリスンとマーサが密会を繰り返すようになると、ダークの機嫌が以前にも増して悪くなります。 そんな中で起きた殺人事件で、被害者は「XY」のダイイングメッセージを残します。 殺人が起きるのが残り50ページぐらいのところ。 なので一気にクライマックスに至ります。
2022/03/17
Tetchy
今回の事件はなんと浮気調査。本格ミステリの探偵らしからぬ事件だ。つまりクイーンの対極にあるハードボイルド小説や私立探偵小説で取り上げられる題材だ。事件は起こりうるべき方向に進み、どこに推理の余地があるのか、本格としてのサプライズとロジックが入り込む箇所はあるのか、実に判断しにくい。一見普通の事件に見える事象にも論理の光を当てることでサプライズを引き起こすことが出来ることを作者は試みたのではないだろうか。長編20作以上超えてなお野心的な試みとアイデアでミステリを突き詰めようとする作者の姿勢に感心する。
2011/05/02
Ryuko
エラリー・クイーンもの。パートナーはニッキー。ニッキーの友人夫婦の浮気騒ぎに巻き込まれる二人。なんと物語終盤まで事件が起こらず、ずっと浮気調査をするエラリー。斬新です。当然ながらホーソーンの緋文字を下敷きにしているが、Aだけでなく、Zまでが謎解きの材料として使われている。作者は、アルファベット使うの好きだし、うまいな。
2019/05/13
kate
嫉妬心の強い夫を持つ妻の姦通疑惑。暗号を用いた逢瀬をエラリイが追跡、そして最後待ち受ける結末。テンポは悪くないのですが前半はメロドラマのような展開で事件が起こるまでが長い作品。クイーンらしからぬサスペンス調の展開はある意味新鮮です。事件が起きてからの一気の展開が普段の腰を据えた論理展開とはまた違った良さのある作品。ただダイイング・メッセージはちょっと厳しいかと…
2014/07/20
本木英朗
アメリカの本格ミステリ作家のひとり、エラリイ・クイーンの長編のひとつである。俺は大学生と社会人、2回読んでいて、今回で3回目だ。探偵小説家ローレンスと女流演出家のローラは、誰もが羨む幸福な夫婦だった。しかし、結婚三年目から二人の仲が悪くなり、やがて凄まじいトラブルが毎日起こるようになった。エラリイと秘書のニッキーは何度か仲裁に入っては、諦めて手を引こうとしているうちに、«緋文字殺人事件»と呼ばれる姦通事件に巻き込まれていった……という話だ。うーん、ちょっと今回は途中で訳が分からなくなった。
2020/05/16
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