悪の起源 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-9)
悪の起源 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-9) / 感想・レビュー
Kiyoshi Utsugi
小説を書くためにハリウッドに来ていたエラリー・クイーンのところに依頼人が話を持ち込みます。養父で宝石商のリアンダー・ヒルのところに犬の死体と脅迫状が届き、それが彼をおびえさせ、ついには死に至らしめてしまったというのです。 共同経営者であるロジャー・ブライアムのところにも脅迫がきており、ロジャーをおびえさせます。 彼ら二人の過去にかかわる事件のようで、ハリウッド警察署のキーツ警部補とコンビを組んだエラリー・クイーンか謎を解き明かすというもの。 シャーロック・ホームズの「四つの署名」を彷彿させる作品でした。
2021/11/28
くさてる
近く出るクイーンの評伝本のために、数十年ぶりに再読。印象的なところどころの部分は覚えていたけれど、内容そのものはほぼ真っ白だったので面白く読みました。ミステリ、と思って読み進めていたら、いろいろと奇妙な流れになって、おや、と思ったら、論理的な解決に至り、しかし……というあたりで、ラストが、すごく奇妙な味だった。怖かったです。
2021/06/06
Tetchy
エラリイ、再びハリウッドの土を踏む。人間の心理へ踏み込み、探偵が罪を裁くことに対する苦悩を描いてきたこの頃のクイーン。前作『ダブル・ダブル』では作品の軸がぶれて、事件なのかどうか解らなかったが、本書では次々と起こる奇妙な出来事の連続技で読者をぐいぐい引っ張ってくれた。しかしその内容と明かされる真相および犯人の意図は現実的なレベルから云うとやはりまだ魅力的な謎の創出に重きを置き、犯行の必然性とマッチしないところがあって、手放しで賞賛できないところがある。しかしこれからの作品に期待感が持てたので次作に期待。
2010/11/05
ホームズ
事件の最初の方は少し退屈な感じがしてよむのが大変でしたが徐々に慣れてきて楽しめた(笑)犯人としては分かりやすいとは思いますがトリックや真相がかなり良かったと思います(笑)カエルが200匹とかちょっと嫌だな~(笑)しかしキーツ警部補が相棒で舞台がハリウッドというのは少し物足りない。やはりクイーン警視やヴェリーとの捜査が良いですね(笑)
2010/09/19
ドウ
ハリウッド時代のクイーン作品。死んだ犬に父親を殺された、という最初に提示される謎が魅力的なミステリ。脅迫を受けているのに捜査に協力しない車椅子の男、その世話人の記憶喪失の男など、若干結末が見え透いた設定ではあるものの、この時期になると謎以外にも登場人物たちの見せ場を設けたりしてしっかり読ませる形に仕上げている。騙されたいと思って読むと消化不良だけれど、ミステリとして楽しみたいと思って読めば十分満足できる作品。
2016/12/19
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