悪魔の報酬 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-21)
悪魔の報酬 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-21) / 感想・レビュー
Kiyoshi Utsugi
オヒッピ水力発電の経営者であるソリー・スペースがハリウッドの別荘で殺されるとこらから物語は始まります。 動機の点から言うと、財産を相続出来なくなった息子のウォルター、オヒッピ水力発電の共同経営者で、オヒッピ水力発電が倒産したことで大損害を被ったリース・ジャーディンが怪しそうですが、そんなに単純な問題ではなさそうです。 いつものようにニューヨークで発生した事件を親子で解決するというものではなく、今回はエラリー・クイーンだけの登場となります。 協力者がいない等、いつもとはちょっと異なります。 それでも面白い❗
2021/10/02
Tetchy
国名シリーズが終わって書かれた本書とその他2作品はハリウッド三部作と云われているが、今回はハリウッドを舞台にしながらその華やかさは一切なく、いつもの事件に取り組むエラリイの姿が得られる。本書は、なぜ冤罪の容疑をなすりつけれれているのに、本当の犯人を告白しないのか?という謎が焦点となっている。このもどかしさは『災厄の町』を思いださせる。つまり本書は後の傑作『災厄の町』の礎になった作品とも読みとれる。しかし一つの殺人事件で300ページ強をもたすのはちょっと無謀だったかと。地味でなかなか前に進まないと思った。
2011/11/11
造理
★★★☆☆ 事件自体は単純ですが、ある人物の行動がきっかけで複雑な事件になってしまい、エラリイが偶然にも解決に乗り出します。やや遠回りし無駄なストーリーもありますが、謎解きはさすがクイーンといった感じで消去法的に犯人を絞って論理的に解決する安定さを見せてくれます。オチもナイス。
2016/07/24
マヌヌ2号
国名シリーズからライツヴィルものの中継点に位置する長編。登場人物間のラブロマンスの間に殺人事件が発生して、紆余曲折あってクイーンがその事件の解決に乗り出すことになるという(少なくともぼくが読んだ中では)クイーンの長編によくあるやつで、素直に楽しめました。犯人当てとしてはかなりシンプルで、ひとつのトリックの解明からストレートに犯人まで繋がっていく、爽快感すらある構成でした。ただ、犯人の心理の流れには中々に複雑な処理がなされていて、読み応えがありましたね。ぼくはその処理を一番興味深く読んだ。良いミステリでした
2019/11/03
ako
再読。汚いやり方で富を得た男が殺され、共同経営者が逮捕された。エラリイが事件と関わるのを露骨に嫌がる偉そうな態度のグリュック警視。「あのお偉方の鼻を明かしたい」というエラリイ。きちんと捜査をしていないことをエラリイに指摘されたグリュックがガックリしたところは気分爽快。変な格好で新聞記者に扮するのも面白い。最後にグリュックがお礼をしたいと言った時のエラリイの返事がイイ!
2013/04/26
感想・レビューをもっと見る