災厄の町〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
災厄の町〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) / 感想・レビュー
W-G
やはり面白い。もともとクイーンの中でもかなり好きな部類に入る作品。どこかクリスティっぽいせいか。今作のエラリーには血が通っている。推理マシーンではなく一人の人間として事件の渦中に身を置き、故に感情が眼鏡を曇らせているようにも思え、そこに体温を感じる。"名探偵の活躍を見たい"人にとっては国名シリーズ、"人間の悲喜劇を覗きたい"人ならライツヴィルシリーズなのだろうか。国名好きであれば、今作の探偵役がエラリーである意味がないと感じるのではないか。フーダニットとしてはかなりシンプルで、恋愛模様もチープアメリカ。
2016/07/07
紅はこべ
旧訳はクイーンで最多再読作品なので、ミステリとしてより普通小説としてこの新訳を読む。特にノーラとジムの心情に寄り添って。これは戦時中に起きたから、或いは戸籍制度のない国だから、成り立った事件なのかな。現在だったら被害者の身許明らかにするよね。真相を明かさぬままということは、ロバータはこれからどうなるの?エラリイという名前、アメリカでは、よくあるのかな。私はクイーン以外で見たことないけど。ロバータも有名記者ならクイーンを知っていそうだけど。粗探しみたいなこと書きましたが傑作です。旧訳も新訳もどちらも良い。
2018/06/08
おたま
エラリー・クイーンのライツヴィルシリーズ第1弾。一人の妻が夫によって殺害されようとしているらしい。しかし、殺害されたのは別人。今回はエラリーただ一人が探偵役として、事件の解決に乗り出す。これまでのエラリー・クイーンの登場する小説とは異なり、この小説ではただ単なるパズルとしてのミステリーだけに収まっていない。人間の愛情や憎悪、忍耐、絶望、悲劇等が丁寧に描かれている。もちろん最後の謎の解明では、それまで読んでいたことがことごとくひっくり返されていく。しかも、謎の解明自体がさらに奥の深い物語を紡ぎ出している。
2020/12/02
星落秋風五丈原
父親の警視といる時はいつも「お父さん」と呼びぴしっとしているのに今回単独出演だからなのかエラリイがプレイボーイだ。他に言い寄られる相手がいるパトリシアが自分の正体を見抜いたが早いか速攻アプローチ。えっあなたそんなタイプでしたっけ。大人の男の手管で彼女を探偵の助手に仕立ててしまう。この作品でエラリイが変わってしまった!という感想も散見されたので、違和感は私だけではなさそうだ。原題でもTown=街となっているが、どう考えても特定の家にだけ事件が起こっているので家=Houseが正しかったのでは。
2023/03/23
k5
長いなあ。。。舞台設定とかキャラクターの配置、そして三つの手紙が見つかるくらいまでは、興奮して読んだのですが、追加のエピソードが加わるでもなく延々おなじ話が続くのでちょっと退屈してしまいました。家族の物語、という路線ではクリスティに軍配が上がる、とまで言うと言い過ぎでしょうか。
2020/07/20
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