プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 7-3)
プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 7-3) / 感想・レビュー
chiru
チャンドラー好きな父の影響で、わたしも大好きな探偵マーロウ。ここに感想を書くのははじめて。大きなドラマも裏切りも謎解きもないので、ハードボイルドのアウトラインを淡々となぞる感覚。『強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる資格がない』の名台詞が独立して深い印象を残す。名作群の中では控えめで慎ましいこの作品を遺作として読むと、人生をプレイバックするマーロウに、チャンドラーが最期にプレゼントした『希望の物語』のように思えました。 ★3
2018/12/19
まつうら
「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」という名セリフが出てくる作品ながら、チャンドラー作品としては毛色が違うと言われる本作。感じるのは、作中のマーロウがそんなにタフではないということ。殴り倒されるのは1回だけだ。それよりも、何が真実なのかよくわからない状況で、いろいろな人から辛抱強く話を聞くマーロウが印象的だ。何の役にも立たなさそうな、クラレンドン老人の哲学的な宇宙論にすら耳を傾ける。この辛抱強さがタフと言えなくもない。でもベティがそんなマーロウに惚れるのは、どうなのだろう?
2023/01/24
くたくた
「タフでなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない。」ハードボイルド読書会フライングスタート。冒頭の台詞を言わせんがために書いたか?事件は起こったような起きなかったような。最初から最後までどことなくモヤモヤしているが、マーロウの生き様、という一点では書き切ってるとも言える。なぜに、そこまで、女を守ろうとする?そこにやっぱり時代を感じる。今時は、生きてる女は簡単には守らせてくれないから、きっと死体にされちゃうんだろうな〜、と最近のハードボイルドを思う。
2018/07/03
kayak-gohan
探偵フィリップ・マーロウのシリーズ第7作にして、レイモンド・チャンドラーの遺作。ハードボイルドな立ち回りは少なく、マーロウの所作や言動にもどことなく落ち着きがある。名セリフ "If I wasn't hard,I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."は、マーロウを描くことを通してチャンドラーが最終的に辿り着いた「生の哲学」なのかもしれない。
2014/02/21
たち
この時代だからこその、男の美学がある作品なのだなと思いました。今どき、マーロウのような男などどこにもいない。いないからこそ、こんな優しくて強くて欲のない男が愛おしく感じるのかもしれない…。
2023/06/21
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