トライ・ザ・ガール (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-8 チャンドラー短篇全集 2)
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トライ・ザ・ガール (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-8 チャンドラー短篇全集 2) / 感想・レビュー
tokko
全集1よりもグッとしまった感じの短編が多いです。そのためか、そのまま長編へと展開しそうなものも多かったですね。そうか、チャンドラーはこうやって長編へとつなげていって一つの小説を書き上げていたのかぁ、と妙に納得してしまった。だから長編を読んでいるとたまによくわからない断片に出くわしたんですね。
2018/10/26
bapaksejahtera
早川書房のチャンドラー短篇全集2冊目。1936~37年の7作中短編 ①シラノの拳銃②犬が好きだった男③ヌーン街で拾ったもの④金魚⑤カーテン⑥トライ・ザ・ガール⑦翡翠 が収められている。解説によればこの頃からチャンドラーはパルプ雑誌の行く末に悲観して長編を構想するようになった。本集では不統一な探偵の名称を後日マーロウに定めたのもその一環であろう。しかし著者は長編よりも中短編にこそ力を発揮したように改めて思う。好みは⑥と④。他も概ね良いが⑦は結末を中心にくどい。多少の出来不出来はあるが第一集を上回る傑作揃いだ
2021/12/19
ドウ
チャンドラーの短編集第2弾。全集1よりストーリーテリングも叙情性も気障で洒落た言い回しも急速にレベルアップしていて驚く。おそらくは最終的に全ての探偵がマーロウに収斂していったのだろうが、全短編それぞれの訳者のカラーが出ていて、そこの振れ幅も面白い(でも女性の口調のレトロ感はどの訳者も良い味を出している)。マーロウが登場している点でバイアスが掛かっているかもしれないが『金魚』が今回の中では一番良かった。『犬が好きだった男』がかなり露骨に『さらば愛しき女よ』に組み込まれている点も興味深い。
2019/11/01
Tetchy
「シラノの拳銃」、「犬が好きだった男」、「トライ・ザ・ガール」そして「金魚」の4編が秀逸。1つに絞るならばやはり「トライ・ザ・ガール」か。20~30年代後半のアメリカを覆った荒廃感が物語の雰囲気を覆っている。それは禁酒法統治下もしくはその余波が澱のように残る20~30年代のアメリカを覆う鬱屈感に他ならない。善人は不器用であり、暮らしは楽にならなく、器用な奴は相手を出し抜く事にその器用さを発揮し、誰もが悪人だ。そしてそれを表現するチャンドラーの描写力、文章力の凄さ、改めて痛感した。
2010/01/19
べっちー
長編の元になった短編が多く、こんがらがってくる。
2023/09/11
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