トラブル・イズ・マイ・ビジネス (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-10 チャンドラー短篇全集 4)
トラブル・イズ・マイ・ビジネス (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-10 チャンドラー短篇全集 4) / 感想・レビュー
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
短編集。「マーロウ最後の事件」でマーロウは組織から抜けて逃げ場を失ったギャングを助ける。そのギャングが「女にこんなやばい事させるのか」みたいな優しさを見せたので断らない事にしたのだ。ハードボイルドだぜ、まったく。チャンドラーの文章には無駄がなく読んでいて緊張感と全部書き留めておきたい感が次々と襲ってきて、困る。いや、困らないけど。
2019/10/08
林 一歩
ごった煮な短編集。秀でた作品は皆無。習作だと思えば腹も立たないか。
2014/02/09
bapaksejahtera
年代順に中短編を追ってきた本シリーズも最終巻。1939年から没後に出版作品まで何と10編。この中には著者には珍しいファンタジーもの2篇と評論が含まれる。著者の年齢の為か長編に力を入れるようになったせいか最初の「トラブルイズマイビジネス」と後半の「マーロウ最後の事件」以外は創作としては私の好みではない。評論2篇は推理小説論であり、特に「むだのない殺しの美学」は先導者とするハメット礼賛を含め、推理作家の気概を示す良い文である。但し文中に披露される作品を余り読んでいないので意味の通じないところがあるのは残念だ。
2022/01/11
DEE
これで現在流通しているチャンドラー作品はなから読み終わったかなと思ったら、創元社のものあるということを読友さんのレビューで知った。 「マーロウ最後の事件」が良かった。「ビンゴ教授の嗅ぎ薬」はそれを嗅ぐと姿が見えなくなるという、いつもの探偵ものとはガラリと違った内容で、これも面白かった。 でもやはり長編がいいな。短編だと展開が早くて「おや?」と思うところもあったりするので。
2019/07/26
Tetchy
この4集目は長編『大いなる眠り』以後ということで、若干ワンパターンが改善されたように感じた。以前は見られなかった「青銅の扉」、「ビンゴ教授の嗅ぎ薬」なる探偵に拘泥しない奇妙な短編も創作されているし、そしてやはり「マーロウ最後の事件」は全短編の中で随一の出来映えだ。文章は確かに素晴らしい。数ある文学者の中でもそれは至高の位置にあるだろう。しかしストーリーを語るのが上手いかと云われれば、イエスとは云い難い。展開はバリエーションに乏しく、これがチャンドラーの弱点だと思う。十数年後に読むと心持ちも変わるかな?
2010/02/02
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