ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
以前に清水俊二訳(こちらの邦題は『長いお別れ』)で読んだので作品としては再読。随分印象が違うものだ。というより、本書の場合はチャンドラーを読んだのだが、同時に村上春樹の小説を読んだかのようでもある。節回しが春樹調なのだ(あたりまえか)。フィリップ・マーロウの印象もぐっと身近なものに感じられる。なにより、その抑えた情感が時として溢れてしまうところがいい。単なるタフガイではないのだ(前回はそんな風に受けとめていた)。まさに「武士は食わねど高楊枝」を地で行くかのようなマーロウ。この造型は唯一無二である。
2023/04/14
Kircheis
★★★☆☆ チャンドラーの最高傑作。 お洒落で含蓄のある文体は芸術の域である。 個人的には序盤からオチが大体読めるし、もう少しコンパクトにまとめた方が良かったと感じるのでそこまで好きというわけではないが、古典文学として素晴らしいとは思う。それこそチャンドラーが意識していたと言われるヘミングウェイの作品と比べても引けはとらない気がする。 これまでの作品では基本的に格好いい男性像を体現していたマーロウが、本作では悩める泥臭い中年男性として描かれていて親近感を感じた。
2022/10/01
おしゃべりメガネ
R・チャンドラー氏の作品は本作が初読みでした。しかも村上春樹さんが訳しているので、どこをどう読んでも村上春樹節が前面(全面?)に出ていて、原作者の文体や世界観が悪い意味ではなく、伝わりにくくなっていると感じました。村上さんが書いた少しソフトなハードボイルド小説のように捉えてしまいましたが、村上さんが書いているワケではなく、訳しているのでまどろっこしい?表現・文章は幾分控えめ?で読みづらくはないかと。しかし、肝心なハードボイルドな世界観が少し薄く感じてしまいましたが、オリジナルもこんな感じなんですかね?
2010/11/10
小梅
チャンドラーの誕生日イベに合わせて読了しました。こんな文豪と同じ誕生日だなんて光栄だわ〜ハードボイルドな作品はあまり読まないのですが、とても良かったです。とにかくギムレットが飲んでみたくて仕方がないので近々何処かで飲んでみようと思ってます。本当のギムレットを♪( ´▽`)
2015/07/22
やきいも
ミステリー小説の歴史的な名作といわれてます。訳者は村上春樹。殺人の容疑をかけられた友人レノックスの無実を信じる主人公の探偵マーロウ。レノックスの事件を調べている途中で彼も様々な事件に巻き込まれていく...。チャンドラーの織り成す文章は美しい。そして作品の主題ともいえる「友情」の結末が胸にしみます。ただ、凝ったトリック等は作品中にでてこないし、純粋にミステリー小説としての面白さを期待しているとがっかりするかも。この本は「ミステリー小説の枠組みをとり入れた純文学作品」だと思います。
2016/02/20
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