KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

喪服のランデヴー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 1-1)

喪服のランデヴー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 1-1)

喪服のランデヴー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 1-1)

作家
コーネル・ウールリッチ
高橋 豊
出版社
早川書房
発売日
1976-04-01
ISBN
9784150706012
amazonで購入する Kindle版を購入する

喪服のランデヴー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 1-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

Kircheis

★★★☆☆ ブラックシリーズの6作目。『黒衣の花嫁』の殺人者を男に変えただけで、プロットはほぼ同じ。 ただし、本作ではターゲットそのものを殺害することが目的ではなく、ターゲットの1番愛する人を殺害して苦しみを味合わせるのが目的となっており、その分殺人鬼ジョニーのサイコぶりが際立っている。 担当刑事のカメロンがもう少し有能であれば事件は3つ目で終わっていたと思われるだけに残念である。 ちなみに犯行は登場人物達が軒並みお馬鹿だったから成功したようなもので、あまりリアリティはなかった。

2022/07/02

佐々陽太朗(K.Tsubota)

冒頭部「別れ」の章にウールリッチの恋愛観が色濃くでている。この世に唯一無二の相手を求める。お互いがお互いを視る特別な眼を持っている運命の人との出会いである。その娘を失った喪失感と孤独は切なく胸に迫る。物語は復讐劇だ。復讐の原因を作った側に悪意はない。軽率さが招いた偶然のいたずらである。しかし、主人公ジョニーはその出来事を受け入れることが出来ない。死んでしまった娘はジョニーにとって唯一無二の恋人であり、彼のすべてであったのだから。彼の復讐は神の創りたもうた不条理を正す祈りにも似た作業だったに違いない。

2014/12/14

アナーキー靴下

巻末解説にもある通り『黒衣の花嫁』の同工異曲のようでありながらかなり違う。物語の始まりでジョニーの喪失感に巻き込まれるせいだろうか。『黒衣の花嫁』は、危険が迫る登場人物に「逃げてー!」と言いたくなる気持ちで読んだが、本作の場合、目的を遂げて欲しい気持ちになってしまう。復讐の相手は極悪人ではないし、復讐が彼を救わないこともわかっている。それでも、その復讐が残酷であればあるほど、喪失感を満たしてくれるかのように、達成を求めてしまうのだ。ラスト、見習生の「ずいぶん残酷だわ」が本当にたまらない。彼の最期の言葉も。

2023/07/18

たち

『黒衣の花嫁』の男バージョンと言う感じですが、全く別の話しのように雰囲気が変わります。復讐劇は今まで何冊も読んできましたが、どうしてこんなに面白いのかなぁ。特にウールリッチさんは行間に滲み出る哀愁と相まって切なさが倍増します。いいですね。

2020/08/14

藤月はな(灯れ松明の火)

とある航空機から落とされた瓶から哀しき復讐劇は始まってしまった・・・。愛する者を奪った者から愛おしい者を奪うジョニーに「それでいいの?」と問いかけたくなるのですが外面は魅力的でありながらも内面には凍りつくような哀しみを内包している彼の喪失感と突然すぎる大切な者の死が同時に際立っています。特にぺギンの最愛の妻を心も奪って絶望に叩き落とす章は惨いとしか言えません。ラストのジョーのドロシーへの呼び掛けが虚しくて遣る瀬無いです。

2013/04/08

感想・レビューをもっと見る