恐怖の冥路 (ハヤカワ・ミステリ文庫 10-2)
恐怖の冥路 (ハヤカワ・ミステリ文庫 10-2) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★★☆ ブラックシリーズ第5作目。 恋人を殺され、その犯人に仕立て上げられたスコットが、警察から逃れ、偶然知り合ったミドナイトという女性の助けを借りて、冤罪を晴らすと共に復讐を果たそうと奮闘する。 『幻の女』をアクション寄りにアレンジした感じで、リアリティは無いものの、これはこれで面白く仕上がっている。ウールリッチらしく、ラストの切なさが余韻を残す良作。
2022/06/28
cinos
このタイトルからブラック・シリーズだとは気付かなかったです。言葉も通じない異国で妻殺しの容疑者になってしまいます。ちょっと残念な出来ですが、助けてくれる女性がいいです。
2017/12/09
elf51@禅-NEKOMETAL
不倫相手とハバナへ逃亡するも人妻がナイフで刺され,容疑者となる主人公が逃亡しながら謎を追うというサスペンスミステリー。と書くとデビッド・ジャンセンの「逃亡者」の先駆けだなと。追われる者の孤独と焦燥を,うまく書いている。暗めの雰囲気とアイリッシュ独特のきれいで粋な文体がいい。助けてくれた女性との別れ,ラストシーンも映画的で印象に残る作品。
2021/01/04
akiko
スコットの真面目で懸命に真相に近づこうとする姿は、混みいったトリックはなくても、楽しめる話だった。でもスコットよりもミドナイドの、姐御ぽい感じがいいです。そして最後の軽く袖のほこりをはらうっていうシーンがなんとも言えません!
2019/06/07
SIGERU
ウールリッチは私にとって特別な作家だ。玉石混交でも許容できるという意味で。この「恐怖の冥路」(1944)は脂の乗り切った時期の作品なのだが、傑作「黒い天使」(1943)と「暁の死線」(1945)に挟まれて、それ故にか凡庸な仕上がりだった。哀傷と恐怖を歌ういつものウールリッチ節が稀薄で解決もあっさりし過ぎ。ハバナの裏街を舞台にしてエキゾティシズム満載なのだが、ただそれだけなのだ。主人公スコットはほぼ無力で、事件解決の頭脳役はハバナ美女ミドナイトという布置は、生涯マザコンだったウールリッチらしさを感じさせた。
2016/09/27
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