黒い天使 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 1-6)
黒い天使 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 1-6) / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
黒原敏行訳。夫はいつも彼女を「天使の顔Angel Face」と呼んでいた。彼女を誰より愛していたのだ。それが突然そう呼ばなくなった。ある日、彼女は夫の服がないことに気づく。夫は別の女のもとへ走ろうとしていた。裏切られた彼女は狂おしい思いを抱いて夫の愛人宅を訪ねる。しかし、愛人はすでに何者かに殺されており、夫に殺害容疑が!無実を信じる彼女は、真犯人を捜して危険な探偵行に身を投じる…新訳で贈るサスペンスの第一人者の傑作。
2005/04/21
うーちゃん
愛人の元へ去ろうとしていた夫。しかし、その愛人が死体となって発見され、夫は犯人として捕まってしまう。アルバータは夫の無実を信じ、危険な探偵行に身を投じる・・。私ならそんな不倫夫放っとくが、"天使の顔"ことアルバータは優しいのである。彼女に愛と知恵と勇気があることは否定しないが、まあちょっとトントン拍子すぎるきらいはある。そういう意味でミステリとしては弱いが、やはりこの作家は文章が美しい。黒原訳との相性も抜群だろう。街の喧騒、ジュークボックス、書き置き・・舞台装置も完璧だ。悲しいラブソングのような物語。
2022/12/19
Ayah Book
殺人の冤罪で捕まった夫のために真犯人を探す若くかわいい妻。この妻ちゃんの「はじめてのおつかい」的な大冒険を描くのかなぁ、と思いきや。ラスト・・・あまりにも苦く切ない。ストーリーは単純だけど、心に残る作品。
2017/10/04
Tetchy
泣けた。静かに泣けた。夜の切なさに包まれたかのようだ。やはりウールリッチはすごい。『喪服のランデヴー』に代表される連作短編集のように物語を紡ぎだすウールリッチのスタイルは健在。今回は夫の冤罪を晴らすべく浮気相手の4人の男と妻アルバータの物語として描かれる。そして今回は今まで以上に特に名文が多かったと感じた。ところどころではっとさせられた。誰もがロマンティストになる小説だと思った。本当にウールリッチは素晴らしい。
2009/09/26
koo
最近短編に触れ無性にアイリッシュ作品が読みたくなり手に取ってみました。ブラックシリーズ4作目、「幻の女」の次作に当たる作品ですが愛人の殺人容疑で死刑宣告された夫の無罪を信じ真犯人を探す若妻フレンチを主人公とし彼女が関係者に接近してゆくスタイル、書いてるだけで「幻の女」「黒衣の花嫁」に似た構成(笑)しかも読み続けると真犯人が丸わかりの展開、解説にある「ウールリッチの世界には論理は存在しないのだ」には納得(笑)ヒロインはいじらしいですが期待したロマンティシズムは二番煎じ感が邪魔してイマイチでした。
2024/04/19
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