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九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

作家
ハリイ・ケメルマン
永井 淳
深町眞理子
出版社
早川書房
発売日
1976-07-01
ISBN
9784150711023
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九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

邦題が上手い。翻訳者のセンスが光る。原題は"THE NINE MILE WALK"。普通に訳して、しかも日本語らしさを考慮すれば『9マイルの道』といったあたりだろうか。表題作を含め8つの短篇から構成されるが、探偵役はすべて英文学教授のニッキイ。彼は、ここではいわゆる「安楽椅子探偵」に徹している。謎解きは極めて客観的、公平(公正)なものである。すなわち、本書においては、読者も一緒に謎解きの知的な楽しみを共有することになる。ただし、その一方でスリルやサスペンスにはいささか欠けることもまた否めない。

2021/05/09

W-G

有名な表題作は他と比べても異質な一編。強烈なインパクトがあり、探偵役ニッキィの頭脳明晰さも際立っている。そういう意味で、作品集の一発目にはもってこいなのはたしか。しかし、『九マイルは~』はいわば、ホームズが初見で相手の職業をあてるアレを一つの物語にしたようなもので、さらにいってしまえば、他の解釈もいくらでも可能だったりする。『わらの男』や『十時の学者』に見られる、古典的で丁寧な逆説や帰納、『おしゃべり湯沸し』ラストのエスプリのきかせ方が、この作品をここまでのものに引き上げていると私は考える。

2018/04/08

徒花

おもしろかった。「九マイルは遠すぎる。(以下略)」という言葉だけから驚くべき事件を解決してしまう安楽椅子探偵による短編ミステリー集。序文でも書かれているように、「推理」のおもしろさにだけ特化し、余計なドラマや冒険譚などは一切ない。ストーリーも登場人物も必要最小限に絞られ、練り上げられた作品に感じた。これは単に私が本格系が好きだというだけかもしれない。表題作はもちろん面白いが、個人的には最後の一遍「梯子の上の男」のような終わり方が好き。

2017/12/01

Kircheis

★★★☆☆ ニッキィ・ウェルト教授が、純粋に机上の推理だけで難事件を解決していく本格ミステリ短編集。 ミステリ好きなら読んで損はないだろう。 表題作の『九マイルは遠すぎる』など面白い話が盛りだくさんである。 ただし、全体的に推理の流れが飛躍し過ぎな感もある。 そんな中では、ラストを飾る『梯子の上の男』が個人的に1番しっくりきたかな。

2019/06/17

遥かなる想い

多岐にわたる推理小説のジャンルで一応短編集に属するであろう本作品は、やはり分類すると自分で捜査するのではなく親しい郡検事からデータを聞いて真相を洞察するという意味で、アームチェア・デテクティブという系列に入るのだろうが…上記分類が正しいかどうかは別にして、私はどうもこの手の推理小説が今は好きになれそうもないと読みながら思った。単に推理するだけではなく、スリル・謎を 楽しみながら読み進みたいという現在の嗜好だけが理由だとは思うが。

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