あなたに似た人〔新訳版〕 I 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 1-9)
あなたに似た人〔新訳版〕 I 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 1-9) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★☆☆ 奇妙な味と評されるロアルド・ダールの短編集。 個人的には特段驚きもなく、その分サクッと読める作品が集められていたという印象。奇妙さもダンセイニ等の作品に比べると地味。とはいうものの、平均点はそこそこ高く、決して悪くはない。特に『ギャロッピング・フォックスリー』は自分にも起こらないとは言い切れないプロットで好みだった。
2023/12/27
徒花
まあまあ。ミステリーとして読むと肩透かしを食らう作品が多い短編集だが、単純にブラックユーモアとして読めば胸糞が悪くなる毒々しさが思う存分味わえる。この著者の特徴なのかもしれないが、「肝心のシーンは描かない」のが印象的だった。読者をリードするだけリードしておいて最後の最後は読者の想像にゆだねるところがある。個人的には『皮膚』あたりが好き。秋の夜長にはちょうどいい本かもしれない。
2016/10/31
ムッネニーク
70冊目『あなたに似た人 [新訳版] Ⅰ』(ロアルド・ダール 著、田口俊樹 訳、2013年5月、早川書房) 人間の持つ負の側面を拡大して見せてくれる、悪意に満ちた短編集。 徐々に、しかし確実に忍び寄る薄気味悪さを存分に味わうことができる。 「南から来た男」は、日本の漫画にも大きな影響を与えたのではないだろうか。凄まじい切れ味と後味の悪さ。 「首」のクライマックスには息が詰まりそうなほどの緊張感がある。 「メアリー・マロニーはそれを聞いて居間でくすくす笑いはじめた。」
2021/08/04
遥かなる想い
奇妙な味のする15篇からなる 短編集。ミニ・ミステリが 好きな人には たまらない本だと思う。(ベスト100で 第5位)それにしても「味「南からきた男」等、賭博を扱った作品のおちは、小気味いいほど。通勤電車の中でひとつひとつ味わいながら読むのにいいと思う・・・
アナーキー靴下
お気に入りの方のレビューがとても面白そうで読んでみた。確かに凄い、傑作揃いの短篇集。1篇終わるごとについ読み直してしまう。冒頭ではどんな話になるのか想像がつかないが、結末までくると、何か信じたくないような気持ちになる。書かれている結末は変わらなくても、読み返したら別の解釈ができるかもとか、見逃していた因果応報に気付いて納得できるかもとか、そんな気持ちでつい読み直して、むしろ初めの印象がより強化される残酷さ。『あなたに似た人』…読む人それぞれの見えかたがある短篇集なのだろう。解釈の共有は意味をなさない。
2022/05/26
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