飛行士たちの話〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 1-13)
飛行士たちの話〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 1-13) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★☆☆ ダールの小説家デビュー作。 自身の実体験を絡めた、戦争における様々な短編が詰め込まれている。 幾つかの作品には同名の登場人物が出ており、物語世界は繋がっているように思える。 いずれも戦争の虚しさや悲惨さが伝わる良作だが、特に哀しい雰囲気が漂う『カディーナ』と、ちょっとしたドンデン返し系の『猛犬に注意』がお気に入り。
2023/12/31
空猫
【戦争】ダールサンが空軍パイロットだった経験からの短編集。長年の経験を積んだ兵士とは『ある老人の死』。不時着した地で聞いた奇妙な話『あるアフリカの物語』。そのはずだった『ちょろい任務』娼館の主はシラミたかりの守銭奴『マダム・ロゼット』。…ドイツ兵が金髪碧眼の普通の人だなんて何かの間違い『カティーナ』。「紅の豚」ワンシーンはここから『彼らに歳は取らせまい』。…降りるのを手伝ってくれ片足を無くしたんだ『猛犬に注意』。一人息子が…『このこと以外に』。…酒のおかわり…あの女の胸を見てみろ『あなたに似た人』。
2021/09/02
かわうそ
「奇妙な味」を期待していたら戦争をテーマにした作品が続いてちょっと違うのかなと思い始めるも、読み進むうちに日常的に死と隣接して生きる人々の物語はいつしか幻想性を帯びてくるものなのかなと思わされたり。非常によかったです。
2016/08/28
波璃子
これは良かった。幻想的な語り口がより戦争の辛さや人びとの虚しさ、やるせなさを助長していて余韻が残る。「彼らに歳は取らせまい」が一番好き。読んでいてもしかして、と思ったら、やっぱり宮崎駿さんが「紅の豚」で取り入れていたようで、胸が熱くなった。
2016/09/14
くさてる
ダールといえば「奇妙な味」だけれど、これはすぐれた戦争文学の短編集でした。飛行機での戦闘やパイロットというあたりにセンサーがにぶい私でもひきこまれる描写のなか、かれらが最後にたどりつく諦念のようなものが胸に迫りました。「昨日は美しかった」「彼らに歳は取らせまい」「あなたに似た人」の三作が個人的ベストです。
2017/01/11
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