ダウンタウン・シスター (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 2-5)
ダウンタウン・シスター (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 2-5) / 感想・レビュー
ケイ
ヴィクシリーズ5作目。私にとっては2冊目。その2冊を読んだ限りだが、この作家は単なる殺人ありきミステリに仕上げず、社会問題を扱い暴いていく社会派ミステリ作家とでもいうのかな。取り上げるテーマは重い。しかし、その問題に立ち向かっていくヒロインや、まわりの人々があまりにステレオタイプ過ぎて、かえって感情移入できなかった。まだ女性の性について語ることがタブーだった時代の人と、それに対する女主人公との構図とか、盛り上げ方が安易に思える部分がいくつかある。
2016/08/13
NAO
父親探しを依頼された私立探偵ヴィクトリアに降りかかってくるさまざまな妨害と、身の危険。シカゴといえば、アメリカの発展に欠かせない都市。フォードの工場があり、他にも大工場がひしめいていた。この作品で問題になっているのは、ザクシーズという溶剤工場。物語は、この工場の公害と保険に関わる問題とキャロラインの父親探しが絡み合っている。父親探しが重い社会派の問題となっていくというギャップはユニークだが、依頼主の性格・態度に共感できず、少しイライラした。
2020/07/04
セウテス
V・I・ウォーショースキーシリーズ第5弾。ヴィクが少女の頃、隣の家に越してきた女性は一人で子供産んだ。産まれた子はキャロラインと名ずけられ、ヴィクを姉の様に慕ってそだった。時が経ち、ヴィクはキャロラインから、自分の父親を捜して欲しいと依頼を受ける。幼なじみの頼みに、乗り気では無かったが調査を始める彼女に、思いも駆けなかった展開が待っていた。キャロラインの父親は誰かという謎と平行して、化学薬品業界の裏の問題が明らかになる。サスペンスだけではない、かなり重い社会的問題に斬り込んでおり、評価を得ているのが解る。
2015/12/30
白玉あずき
5,6ページごとに本が顔に落ちてくるので参った。連日の猛暑のせいか、はたまたパレツキーさんと相性が悪いのか。なかなか進まずあやうく途中放棄しそうに。大企業の悪と環境問題、テーマとしては自分好みの筈なのに。地元の悪徳政治家とマフィアのボスの存在感が薄すぎ。情けない兄に代わって、思いもかけずミズ・チグウェルが好印象。いざという時背中を守ってくれるのがチグウェルとペピーちゃんでは、本当に主人公の身が心配だわ。あまりに弱っちいアートジュニアの今後の人生も哀れみながら、やっと読了。
2021/08/01
花乃雪音
V・I・ウォーショースキーシリーズ5作目。1作目の次に5作目を読んだが問題なく読むことができた。小さな依頼から大きな社会事件へ話が広がるのはよくあることだが社会派思わせる小説での出来事は当時のシカゴの世情がわからぬ身にはリアリティの度合いが判別できなかったため本作の立ち位置も判別できなかった。
2022/01/12
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