赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 6-2)
赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 6-2) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★☆☆ ハードボイルドの元祖といえる名作。 余計な描写を抑え、淡々と起こった事実を記述していく筆致に真のハードボイルドの香りを感じた。 主人公を「私」と呼び、名前を明かさないのは、ドラクエ等のように主人公を読者に重ねさせるテクニックか?しかし、個人的に主人公があまり好きになれるタイプではなく、重ね合わせたいとは思えなかった。 目まぐるしい展開は読んでて楽しい反面、ご都合主義でリアリティはないように思った。 全体的には割と楽しめたので、他のハメット作品も追いかけてみたい。
2022/07/26
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
毒をもって毒を制す。1929年に発表されたダシール・ハメットの処女長篇。マフィアが巣喰い荒廃した鉱山町にやってきた男。サンフランシスコのコンチネンタル探偵社の名無しの探偵=コンチネンタル・オプだ。町の浄化を依頼したクライアントが早々に殺されたにもかかわらず、対立する勢力を渡り歩き仁義無用の惨劇を演出する。本作を下案に創られた黒澤明監督『用心棒』は、クリント・イーストウッドやブルース・ウイルス主演でリメイクされた。数々の映像作品を観ていたためか、初めて読んだ感じがしなかった。ニヒルでマッチョな男のドラマ。
2016/04/08
HANA
ハードボイルドの古典的名著。内容はよく言及されるので何となくわかっていたが、通読は今回が初めて。主人公が裏に回り組織を対立させ争わせるといった筋から、もっと狡猾な主人公を想像してたのだがコレが意外と行き当たりばったり。争わせるネタも偶然手に入ったりするからなあ。何より組織が四つあるけどうち二つは主人公とほぼ繋がりが無いのは読んでいて残念であった。と難点は色々あるけど、こういう地獄の窯の底が抜けたような混乱は趣味にぴったりなので読んでいて楽しかった。何より血と暴力から成る乾いた雰囲気が堪らない一冊であった。
2019/03/20
GaGa
以前は創元推理文庫の「血の収穫」で読んでいたので、小鷹信光訳では初めて読む。「血の収穫」を読んだのが相当前だったので読み比べるまではいかないが。ただこの小説はとても好きで、ハードボイルド文学の頂点たる作品ではないだろうか。コンチネンタル・オプが行動的だとされ、「マルタの鷹」をハメット一押しに挙げる人も多いが、私はこれが一番で二番は「ガラスの鍵」その次に「マルタの鷹」かなあ。
2013/02/17
いっくん
地元新聞社社長の依頼によりコンチネンタル探偵社の調査員が鉱山町を訪れたが…。町の大掃除のため繰り広げられる暴力、銃撃の激しい抗争がテンポ良く綴られていて、また会話も多く読みやすくて面白かったです。町の有力者たちが、オプと地獄の沙汰も金次第の如きブランドに振り回され右往左往している様が滑稽でした。映画『用心棒』ではハメット作品を参考にしたとの事で、そこも楽しみの一つでしたが、桑畑三十郎よりオプの方がなにかと苦戦してましたね。名作でした(^_^*)
2019/04/10
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