泥棒は選べない (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 10-3)
泥棒は選べない (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 10-3) / 感想・レビュー
Panzer Leader
盗みに入ったアパートから死体が発見され犯人扱いされた泥棒バーニイが容疑を晴らすため自ら調査を行う発端から引き込まれる。何処でもいるような現実的なキャラ、相手方とのユーモア溢れる会話、片意地張らず淡々と調査を進める手際など後年のケラー・シリーズの原型を読むような作り。少ない登場人物ながら謎解きの要素もしっかり描かれていてグッド。コスプレ好き色気過剰な女性との進展はあるのか興味津々。このシリーズも追っかけ決定!
2018/07/26
ずっきん
泥棒バーニイ・シリーズ1.スカダーやケラーに比べてなんだかとても人間臭いキャラクター。そんなバーニイをスタイリッシュな文と軽妙な会話で描いていく。あとがきを読むと著者が泥棒をやるとしたらこういう泥棒になりたいで創作された模様。なるほどね!すっかりはまった職人ローレンス・ブロック。もう、わたしにとってはハズレがない作家さんのようです。人物の描きこみ、巧みなストーリー運び、読んでいる間は幸せ以外のなにものでもない♪スカダーもバーニイも短篇集も、まだ未読が山ほどある幸せもね。
2018/05/25
Tetchy
まず驚くのはその軽快な筆致。とてもマット・スカダーシリーズと同じ作家が書いたとは思えないほど、軽妙でユニークだ。特に絶妙なのは会話だ。突然話があらぬ方向に向かうバーニイと、彼を取り巻く人物たちのやり取りは洒落た漫才のようで実に面白い。正直第1作目の本書は最初の導入部が実に面白かったせいもあり、途中、中だるみを感じてしまったのは否めない。が、さりげない手がかりや伏線と云った意外に本格ミステリな趣向が凝らされており、最後の真相には感心してしまった。しかしなぜこれも現在絶版なのか?どうにかしてほしいものだ。
2014/02/19
タカギ
泥棒探偵バーニイ、初登場。で、ローレンス・ブロック、初読み。伊坂幸太郎先生がファンを公言している。バーニイは泥棒を生業にしており、「青い小箱を盗み出してほしい」と依頼を受けて忍び込んだ部屋で、警官に見つかり、死体にも出くわす。何とか逃げ出したあとは、芸は身を助く、じゃないけど、長期不在の知人宅に隠れる。そこで魅力的な女性といい感じになって、事件を調べはじめる。訳者あとがきには「プロットがブロックにしては珍しくよくできている」と書かれている。いつもは違うの? たたみかけるような最後の展開が良かった。
2020/02/01
うえぴー
これまた四半世紀ぶりの再読。終盤の名文句だけ覚えていて(完全とはいえない。でも完全な人生を生きているやつなんてどこにいるものか。われわれはみな、不完全な世界で不完全な生活を送る、不完全ないきものだ。ただ、それぞれベストを尽くすだけだ。 )、あとはスッカリ忘れておりました。終盤は驚きの連続。泥棒版の軽ハードボイルドかと思っていたら、ミステリの楽しみも詰め込まれていました。でも、マット・スカダーがネガだとすると、こちらバーニー・ローデンバーはポジ。陽気に前向きに盗みを働き、身の潔白を自分で証明する。楽しかった
2015/08/18
感想・レビューをもっと見る