バランスが肝心 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 10-6 ローレンス・ブロック傑作集 2)
バランスが肝心 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 10-6 ローレンス・ブロック傑作集 2) / 感想・レビュー
KAZOO
第1集の短篇傑作集もかなりのレベルでしたが、この第2集もそれに劣らず楽しめる作品が多くありました。マット・スカダーシリーズばかりではなく、じつに様々な分野をカバーしているということがわかります。19編の作品が入っていますがどれも水準以上だと感じました。
2015/07/08
Tetchy
ブロックの第2短編集はまたもや実にヴァラエティに富んだ内容となった。ファンタジー、殺人、叙述トリック、狂気、本格ミステリのパロディ、リドルストーリー、サイコパス、探偵物、奇妙な味とよくもまあこれだけのアイデアが出るものだと今振り返って改めて感嘆する。しかしなぜこうも印象に残る作品が多いのか。それは確かにアイデア自体も秀逸だが、語り口が絶妙だからだろう。物語の幕引きのタイミングを心得ているのだね。限られた枚数でこれだけのヴァリエーションとアイデアに絶妙なオチをつける、まことに短編は「バランスが肝心」だ。
2014/11/19
大泉宗一郎
すくないページ数で、いかに読者を魅了するか、というのが、短編を執筆するすべての人に課される最大の命題だと思うが、これに完璧な形で解答できる人物の一人が、このローレンス・ブロックという作家さんだろう。アイデア、ユーモア、語り口など、小説家として体得してきたスキルを総動員して、それぞれ全く異なる分野の世界を、長編並みの密度で紹介してくれる。また、技術的な面だけではなく、切れ味や、染みわたるような余韻、膝を叩きたくなるようなラストもしっかり備えており、エンタメを心得た筆致に感動すら覚えてしまう。かなり良質な一冊
2016/08/10
shamrock
短編集2冊目。粒ぞろいで楽しめた。ちょっとどうかと思う弁護士エイレングラフものが良かった。あと、相変わらずマット・スカダーシリーズはすばらしい。長編の方が全巻揃ったら読み進めよう。
2011/09/02
madhatter
再読。あとがきにあるように、本巻から人間心理を重視した作品が多くなり、オチの鋭さとも相俟って、ブロックの引き出しの多さを感じさせる。個人的には、先行作品のパロディとも取れる「マロリイ・クイーンの死」が好きだ。あんなバカにクイーンを名乗らすなとは思うし、ブロックが本格推理を笑いのめしているとも取れる。だが、本格推理がいかに多くの「お約束」に依存しているかがわかって、自虐的な楽しさがあった。その他お気に入りは「雲を…」「危険な稼業」「経験」「ホット…」「最期に…」「エイレングラフの取り決め」「バッグ…」。
2011/08/25
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