五番目のサリー 上 (ダニエル・キイス文庫 2)
五番目のサリー 上 (ダニエル・キイス文庫 2) / 感想・レビュー
のっち♬
時々記憶喪失に陥る悩みを抱えたサリーは、医学博士のロジャーに多重人格と診断される。サリーの他に四人の個性的な人格を生き生きと描きつつ、多重人格という現代の病に真正面から切り込む姿勢は当時の著者ならでは。凶暴かつ狡猾なジンクスも扱いにくいが、現実から目を背けて病を受け入れようとしないサリーの堅物具合も悩ましい。そうこうしてるうちに複雑な恋愛事情が生じる点もユニークなところ。サリーに存在を全否定されて苦悩しつつも、恋するロジャーのセラピーに協力するために関係を取り持つ外的人格デリーの前向きな姿勢が特に印象的。
2021/04/15
優希
多重人格の苦悩がまざまざと伝わってきました。時々自分の中に無自覚の時間があるということはどれだけ恐ろしいことかと想像すると鳥肌が立ちます。ただ、それぞれの人格がそれぞれ魅力があるのも不思議ですし、否定をするのも何だか難しい気がしました。主人格が持たないものを持っているからなのかもしれません。そんな中で、別人格とは本来感じることのできない複雑な想いをそれぞれ持ち合わせているだけで、根本的には1人なのかもしれないとも思います。人格統合がなされたときどうなるのか。下巻も読みます。
2016/10/29
ヴェルナーの日記
著者が主に扱っている多重人格者の物語。このテーマの淵源を辿れば、スティーヴンソンの『ジキル博士とハイド氏』へと行き着く。現在、この種を病は、多重人格障害とは呼ばず、解離性同一性障害と称する。およそ第1人格形成期(0歳~7歳)より第2人格形成期(8歳~14歳)までの幼児期に種々の虐待を受けることによって発病する可能性が高い。通常、誰でもレジリエンス(外圧による歪みを跳ね返す力)を持っていて、このようなストレス(外圧)を跳ね返すことができるが、レジリエンス以上のストレスを受けたとき、稀に発症することがある。
2015/01/03
Miko
多重人格の女性が主人公のお話。しかも他の人格が現れてる時はサリーは全く記憶がない。精神科のドクターは一番性格が穏やかなサリーを選んで治療を続けた。途中で2年以上も空いてしまったので前に読んだ文を忘れてしまった。もう一度読み返さないと。
2020/11/08
たぬ
★4 『ビリー・ミリガン』とは違いこちらはフィクション。幼児期の悲惨な体験が多重人格を形作るのですね。サリーから分裂した人格たちはそんなに問題なさそうな人物も含まれているけれど、しかしサリーは他人格が表に出ている時のことはまったく覚えていない。(下巻に続く)
2019/04/07
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