24人のビリー・ミリガン 上 (ダニエル・キイス文庫 4)
24人のビリー・ミリガン 上 (ダニエル・キイス文庫 4) / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
主人公ビリーミリガンは、1977年にオハイオ州立大学キャンパス内で、3人の女性の連続強姦と、強盗の容疑で逮捕された。裁判を進める中で弁護士との打ち合わせて自分は本当ビリーではなく、違う人格をもった者であると証言する。この事件をきっかけにして『解離性同一性障害(当時は多重人格障害と呼ばれた)』という精神性疾患が世に出て、アメリカ社会を震撼させた。小さい頃、義父に縄で縛られ吊るされるなどの身体的虐待や性的虐待を受け、その影響で24人という複数の人格が生まれることになった。
2016/03/28
hiro
以前からこの『24人のビリー・ミリガン』を読みたかったが、百田さんの『プリズム』と、東野さんの『プラチナデータ』を読み、解離性同一性障害のことをあらためて知りたくなって、有名なこの本を読んだ。外国の作品はただでさえ名前が覚えられないのに、この作品は登場人物が多いうえ、主人公にも24の名前があり、まったく名前が覚えられなくて苦労した。多重人格を知られないため人格の入れ替わりは、人がみていないところで行うのかと思っていたが、人前で入れ替わるのには驚いた。下巻ではビリーはどのような数奇な運命をたどるのだろうか。
2012/11/19
のっち♬
「ぼくはほんとは逮捕されたんじゃないんです。ぼくは救出されたんだ」—悩み多い人生を送ってきたビリー・ミリガン。果たして彼は懲役刑を逃れたペテン師か、24もの多重人格の犠牲者なのか。著者はこの一世を風靡した男の裁判、治療過程、生い立ちなどに焦点を当て実録を執筆した。こうした人間の不条理や脳の不可思議は『アルジャーノン』でデビューした彼の関心を惹くのに充分な題材と言えるだろう。明かされるその生い立ちは凄惨を極め、ビリーに自身であることを放棄させた。『サリー』が執筆のための実験だったと思えるくらい説得力がある。
2020/02/02
ゆかーん
もう一人の自分の「声」を聞いたことがありますか…?頭の片隅に存在する他人が、本当の自分を遠くから見つめていると語る犯罪者。彼の心に中には、そういった多重人格者が24人もいます。継父から虐待され続けていた少年ビリーは、自分のつらい体験を自身ではない他者に代わってもらうことで、どうにか己の存在を保とうと努力しました。その結果、虐待されている間は他者に成り代わり、その間の記憶を一切なくすことが出来たのです。いつしか彼はビリーという存在を眠らせ、アーサーやレイゲンといった別の人格を中心人物に置くようになりました。
2015/08/21
Yunemo
(娘に薦められて) 著者ダニエル・キイス、最近亡くなられましたよね。本作品について、犯罪に手を染める根拠、個々人としての存在意義、人格というより人物そのもの、犯罪を裁く身(今話題になっている精神鑑定等)、なんだかいろんな見方があって、解釈が難しい、その一言に尽きますね。まず、ノンフィクションであるということに最初の驚き、本作品が世に出るまでの苦労と葛藤、本人の生きてきたプロセス、身に沁みてきます。「その瞬間、ビリーの心と感情と精神は24の部分へと砕け散った」、この時期が9歳ですよ。本当に、凄まじ過ぎます。
2014/08/03
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