心の鏡 (ダニエル・キイス文庫 8)
心の鏡 (ダニエル・キイス文庫 8) / 感想・レビュー
みゆ
『アルジャーノンに花束を』の中編バージョンが収録されている短編集。先に発表されたのは中編、それがヒューゴ賞を受賞、大筋はそのままに登場人物を追加して長編化した経緯を持つ。学生時代は知性の階段を駆け上がり転げ落ちる様を一気に描いた中編の方が好きで、長編に追加された家族との確執やワレン養護学校への訪問は冗長に感じたものだが、還暦過ぎて両者を読み比べて見ると、そこがこの物語に深みを与えていることに気づく。時を経ての再読で色んな発見がありました。中編を知らないあなた、読んでみるもの面白いかもよ('∇^d)☆!!
2023/07/31
ヴェルナーの日記
ダニエル・キイスといえば、『アルジャーノに花束を』や、解離性同一性障害を扱った『ビリーミリガン――』シリーズなどが代表作に挙げれるが、本書はそれ以外(『アルジャーノに花束を』の中編は収録されていますが)の作品を7作品編まれている。自分的に印象に残ったのは『心の鏡』と、『呪縛』、『ママ人形』である。また完全版でない『アルジャーノに花束を』も興味深かった。読み比べてみても面白いかも。ただ自分が初めて読んだ『アルジャーノに花束を』は、完全版でもなく本書に編まれている版とも違った気がするが、他にもあるのだろうか?
2015/12/23
イプシロン
『五番目のサリー』を読んだ勢いで再読。処女作「エルモにおまかせ」からずっと、キイスは深い心理学・精神分析的にな作品を一貫して書いていたことに気づき、おおいに感動を改にした。なんといっても表題作(Crazy Maro)が素晴らしい。人間関係において最重要なのは信頼。それもただの信頼ではなく己の命を賭けるような信頼である、と。原題にあるmaroはキリスト教カトリック正統派からすれば異端派の指導者だったヨハネス・マロであろうか。すなわち、己の命を賭けてまで相手を信頼するような行為は、
2019/12/23
昼夜
初めてダニエル・キイスの中短編を読んだ。全部面白かったけど、中でもSFの「エルモにおまかせ」と「ロウエル教授の生活と意見」、人の心を描いた「アルジャーノンに花束を」の中編と表題作の「心の鏡」が特に良かった。絶望と希望のコントラストの描写がいいから中短編では少し物足らないので長編を読みたくなりました。先日、亡くなったダニエル・キイスの作品数は思ったよりかなり少なくてびっくりしましたが全体的に質が高い証明なのかもと思いつつも、まだ全作品読んでいないのですがもっともっと読みたかったなと思いました。
2014/07/13
たぬ
☆3.5 7編収録。「アルジャーノンに花束を」の中編版が突出してる。これは5点満点でもいいな。手塚治虫や筒井康隆が脳裏を過ったSF「エルモにおまかせ」「限りなき慈悲」等は私にはちと難しかった。初期の頃はSFを書いてたのねと新鮮ではあったけどカレッジで学んだ心理学の要素を取り入れた「アルジャーノン」や「ビリー・ミリガン」がやっぱ好き。
2022/03/27
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