ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫 ク 2-2)
ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫 ク 2-2) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
タイトルの意味については、さまざまな解釈が可能だと思われる。つまり、前の巻の『大きなノート』のように、それが物語の内容とそのまま一致することがないからだ。また、続編にあたる本書では、一転して3人称体で書かれているために、スタイルの上からは普通の小説であり、その意味では斬新さにはやや乏しい。主人公LUCASと、西側世界に行ったはずのCLAUSはもともとが双子なので、その名がアナグラムなのも不自然ではないのだが、本編ではそれも疑わしくなり、読者もまた一種のアイデンティティ・クライシスに巻き込まれることになる。
2012/11/22
青乃108号
【悪童日記】の続編だけれど、スタイルは前作とは全く異なり、滔々と語られ、どんどんと人が行き去り、また人がどんどんと老いそして落ちぶれ死んでいく様が【平坦に】描かれていく。双子のうち町に残った片割れ(リュカ)はどんどん成長して大人になり、本当にいろいろな事があって終いには行方知れずとなる。そのタイミングでもう一人の片割れ(クラウス)の出現。そして再び衝撃のラスト。何だこれは。またまた3作目を読まずにはいられなくなった。
2022/04/08
遥かなる想い
「悪童日記」から始まる三部作の二作目である。15歳になった リュカの物語… 何かを喪失した人々との 兼ね合いを ひどく渇いた文体で 描く。 心が壊れたようなリュカの成長とは 裏腹に、リュカの周りは 重苦しい。 クラウスの帰国とともに、ふたりは どうなって行くのか?三作目に期待。
2019/05/12
tama
図書館本 「悪童日記」から引き続き。うわー あいつ一体どうなってしまったんだ。悪童日記のラストもショッキングだったけど今回もまたとんでもないことに。すでに第三の嘘を予約済。それを読めば理解できるんだろうか!?
2014/11/12
はっせー
『悪童日記』の続き。『悪童日記』につづいての面白さである!内容としては『悪童日記』の続きの世界である。ようやく双子の子供の名前がわかる。リュカとクラウス。この双子が書いたという設定はここから少しずつ薄れてきている。だが面白さは現在である。15歳になり子供から大人に成長していく。その中で色んな人間関係が出来ていく。辛い別れや厳しい現実もある。暗い現実の中に強くそしてもろく危うい存在であった。できるだけネタバレなしで書いているがどう伝えたらいいか悩む。言いたいけど言ったらだめだというジレンマに襲われている!
2022/04/11
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