オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫)
オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
【原書・ピューリッツァー賞③】読者自身が、メイン州の小さな街の住民のひとりになって、このオムニバス小説をなぞっていくような。読み始めてすぐに、どうやらオリーブというのは私の想像するキャラではないぞと気づく。やることなすことうまくいかずに、家族からも誤解されてどんどん寂しい感じの人生の後半になるのかと思ったものの...。さすがのピューリッツァー賞受賞作。読み返したいし、他作品も読んでみたい。
2017/06/12
ケイ
読むというより味わった。短編一つ一つのもつ味が時に苦かったり甘かったり渋かったり。アメリカ北東の港町に住む人たち。彼らの生活が、ヘンリー・キタリッジやオリーブ・キタリッジに絡めて描かれる。オリーブの気持ちだけでなく、夫や息子の目を通したものや、街の人の出来事の中に挟まれることで、オリーブを客観的に見れる。小さな町の持つ息苦しさとお節介さと人情。隣の家の壁紙だって、夫婦喧嘩をいつしたかだってわかっているような生活。みんな目を凝らし耳をすます。でも日本と違うのは、見栄をはらないのね。いい本を読んだ。
2017/05/12
ケイ
読書会のために再読。二度目では最初の話から、オリーブよりで読むと、ヘンリーのいい人だけれど男性社会的時代の身勝手さがみられる。好む話は「上げ潮」「飢える」「川」。オリーブの出自の貧しさ、登場人物に見られる名前の宗教性や出身地域性など、他の方の意見で気付く。多面体的小説だから、色んな切り口があり、見方があり、読み手はそれぞれ見たいものに目を向けて読んでいるのかもしれないと思った。何度読んでもきっと飽きることのない作品。ストラウトが練った技は非常に凝られていて、そこを隅々まで味わいたくなった。
2017/07/07
nuit@積読消化中
あ〜、読み終えてしまったぁ…とても大好きな本に出会えました。前回読んだ『私の名前はルーシー・バートン』も好きですが、本書は読んでいてもっとぐっときました。淡々としたどこの町でもあるどこにでもいるような人々の生活。読み終えるのが惜しいと久々に思えるような作品でした。まだまだ続いて欲しい。映像化するならオリーヴはキャシー・ベイツかな。エリザベス・ストラウトは遅咲きの作家さんとのことなので、未読で翻訳されてるのはあと2作品。もったいないので少しずつ手に取らねば。
2017/11/13
はるを
🌟🌟🌟🌟☆。通算200冊目の記念作品は、2009年度ピュリッツァー賞受賞作の連作短編集。読友さんの紹介でピンときた。初読み作家さん。俺に取っては挑戦の選書。こういう作品は捉え方が難しいので、初めに「あとがき」と「解説」を読んだら、その後割りとスイスイ読む事が出来た。牧歌的な印象の架空の田舎クロスビーだが、話は全体的に暗くて重い。フィクションだが、リアリティがあるので救いもあまりない。オリーヴの事は大っ嫌いだが、俯瞰して見ると結構必死さが伝わってくる。夫婦生活が長い人ほど染み入る作品かもしれない。
2018/11/10
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